公開日 2016年8月30日
医療学系基礎医学部門 兼 総合研究センター (岡豊地区) 樋口琢磨助教、坂本修士准教授らの研究グループは、マイクロRNA(miRNA)の生合成制御を介したがん細胞の増殖変動に関する新たなメカニズムを解明しました。
本研究は、これまでに坂本准教授らの研究グループがIn vitro及びIn vivoの解析で見出した「過剰発現した二本鎖RNA結合タンパク質Nuclear Factor 90 (NF90)とその結合パートナーであるNF45の複合体(NF90-NF45)がmiRNA生合成を負に制御する(Sakamoto et al. MCB 2009)(Todaka et al. MCB 2015)」という現象が、疾患発症や生体制御に関与しているのかという観点から始まったものです。
本研究においてNF90-NF45は肝細胞がん手術標本のがん部で高く発現しており、高発現したNF90-NF45ががん抑制miRNAのひとつであるmiR-7の生合成を阻害することで細胞増殖シグナルが活性化し肝細胞がん細胞の増殖を促進する可能性が提唱されました。
これらの研究成果は、平成28年8月12日付、米国科学雑誌「The Journal of Biological Chemistry (JBC)」にオンライン掲載されました。
論文名: Suppression of miR-7 biogenesis by NF90-NF45 controls cell proliferation in hepatocellular carcinoma.
「肝細胞がんにおいてNF90-NF45によるマイクロRNA-7 (miR-7)の生合成の抑制が細胞増殖を制御する」
論文掲載HPのURL
http://www.jbc.org/content/early/2016/08/11/jbc.M116.748210.long
医学部HPにも掲載しています。
http://www.kochi-ms.ac.jp/html/news/2016/sougouken2016.html