公開日 2017年9月14日
医学部医学科微生物学講座 樋口智紀助教、大畑雅典教授らの研究グループは、稀なリンパ腫である脾濾胞辺縁帯リンパ腫における詳細な遺伝子発現解析を行いました。その研究論文「Differential gene expression profiling linked to tumor progression of splenic marginal zone lymphoma」が、2017年9月8日学際的電子ジャーナルScientific Reportsに掲載されました。
脾濾胞辺縁帯リンパ腫(splenic marginal zone lymphoma: SMZL)は、脾臓の辺縁帯B細胞に由来する低悪性度B細胞リンパ腫で、C型肝炎ウイルスとの関連性も指摘されています。通常は慢性の経過をとりますが、時に高悪性度リンパ腫に形質転化し予後不良となります。しかしながら、その形質転化機構は明らかにされていませんでした。
本研究では慢性期と形質転化したSMZLから2つのペア細胞株の樹立に世界で初めて成功し、遺伝子発現解析を行った結果、形質転化に伴い発現変化する遺伝子群を同定しました。特に、PLK1遺伝子の発現亢進が形質転化に重要な役割を果たすことを突き止めました。PLK1阻害薬は急性骨髄性白血病の治療薬として期待されていますが、形質転化したSMZLの治療薬としても有望であることが示されました。
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http://www.kochi-ms.ac.jp/html/news/2017/biseibutsu2017.html