公開日 2019年4月16日
本学医学部 微生物学講座 樋口智紀助教、大畑雅典教授らによるウイルス関連リンパ腫に関する研究成果が『Cancer Letters』に掲載され、電子版が公開されました。
論文名:Epstein–Barr virus-positive pyothorax-associated lymphoma expresses CCL17 and CCL22 chemokines that attract CCR4-expressing regulatory T cells(DOI: )
(EBウイルス陽性膿胸関連リンパ腫はケモカインCCL17とCCL22を発現し、CCR4陽性制御性T細胞をおびき寄せる)
EBウイルス(Epstein–Barr virus: EBV)はほとんどの成人に持続感染するがんウイルスですが、健常人では生体の持つ免疫監視機構によりウイルスおよびウイルス感染細胞の増殖は阻まれています。慢性炎症が存在するとその部位にEBV関連リンパ腫が発症することは知られていますが、この場合EBVがどのようにして生体の免疫監視機構から免れるのか十分に解明されていませんでした。
研究チームは慢性膿胸から発生する悪性リンパ腫をモデルにして解析した結果、このタイプのリンパ腫はケモカインCCL17とCCL22を特異的に発現することを見出しました。その結果、これらケモカインの受容体であるCCR4を発現している制御性T細胞(Treg)を自ら存在する腫瘍部位におびき寄せることを突き止めました。近年、「がん微小環境」ががんの抗腫瘍免疫からの逃避に関与することが知られてきています。今回の研究により、EBV感染リンパ腫細胞が特定のケモカインを発現し、その結果Treg細胞をがん微小環境に集積させ、巧妙に抗腫瘍免疫応答を抑制する機序の一端が解明されました。本研究は近畿大学薬学部 中山隆志教授との共同研究です。
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