公開日 2021年1月29日
医学部医学科薬理学講座のZou Suoさん(博士課程2年)、清水孝洋准教授及び齊藤源顕教授らの研究グループの研究成果が国際誌『International Journal of Urology』(日本泌尿器科学会学会誌)に掲載され、188足球直播_篮球比分¥体育官网3年1月5日に電子版が公開されました。
排尿障害は患者のQOLを著しく低下させ、高齢化の進展に伴いその患者数も今後益々増加するものと予想されます。一方で既存の治療薬が奏功しない排尿障害患者も存在することから、新たな治療標的の探索が必要とされています。
薬理学講座では以前より、自然発症高血圧ラット(SHR)を用い、慢性高血圧に伴う膀胱虚血が膀胱の過剰収縮を伴う排尿障害の一因である事を明らかにしてきました。最近はガス状伝達物質?硫化水素(H2S)が膀胱における内因性の弛緩因子である事を明らかにしましたが、SHRでは一定期間の高血圧持続の後に排尿障害が出現する事から、H2Sに対する膀胱の反応性がSHRの週齢により異なる可能性を考え、実験的に検証した結果、高血圧を示すが排尿障害は認めない12週齢SHRではH2Sによる膀胱弛緩反応が観察された一方、高血圧かつ排尿障害を呈する18週齢SHRでは、12週齢SHRに比して H2Sによる膀胱弛緩反応が減弱していたことから、慢性高血圧に伴う排尿障害の一因として、H2Sに対する膀胱の反応性低下が示唆されました。
この研究成果は、H2Sを標的とした排尿障害治療薬開発の基礎資料になるものと期待されます。
<論文名> Age-related differences in responses to hydrogen sulfide in the bladder of spontaneously hypertensive rats
<和 訳>自然発症高血圧ラットの膀胱において硫化水素に対する応答性は週齢により異なる
<論文URL>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/iju.14478
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