公開日 2022年9月6日
大学院理工学専攻1年の細川貴弘さんと自然科学系理工学部門の橋本善孝教授による研究論文が、Nature系学術誌「Scientific Reports」に掲載され、2022年8月30日に電子版が公開されました。
沈み込みプレート境界地震発生帯には水などの流体が存在しており、この水圧(流体圧)が地震発生メカニズムに影響を与えている可能性が指摘されています。
細川さんらは、南海トラフ地震発生帯と同様の過去の地震発生帯と考えられる断層帯で見られる鉱物脈(過去に流体の中から固体が分かれて生成された鉱物)の向きのばらつきに注目し、古応力解析と岩石破壊理論に基づくモデル(力の向きと大きさに応じて岩石が壊れる条件)を用いて、鉱物脈が形成された時の広域的な圧力の向きと流体圧の変動を推定しました。その結果、この鉱物脈には、地震サイクル(東北地方太平洋沖地震で観測されたような地震前後の圧力の向きの変化)が記録されていることが明らかになりました。
今後、この研究成果は、南海トラフ地震などの沈み込みプレート境界における巨大地震の発生メカニズムの解明につながることが期待され、ひいては将来の地震予測などの減災に役立つ可能性があります。
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<論文名>Geological constraints on dynamic changes of fluid pressure in seismic cycles
<和 訳>地震サイクルに伴う動的な流体圧変動量の地質学的制約
フ?レスリリース_巨大地震の発生メカニズムの解明に迫る.pdf(307KB)
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