◆大学院医学専攻(博士課程)4年生のZou Suoさんらの研究グループの研究成果が、国際誌Nitric Oxideに掲載されました

公開日 2022年9月16日

 大学院医学専攻(博士課程)4年生のZou Suoさん、医学部薬理学講座の清水孝洋准教授、齊藤源顕教授らの研究グループの研究成果が、国際誌「Nitric Oxide」に掲載されました。

 抗がん薬のシクロホスファミド(CYP)は、副作用として出血性膀胱炎を発症する場合があり、この副作用に対する現行の治療法や予防法が奏功しない患者も少なくないことから、CYPによるがん治療時の大きな問題となっています。このため、CYP誘発性出血性膀胱炎に対する新たな治療及び予防戦略が必要とされています。
 本研究グループは、これまでの研究でガス状伝達物質?硫化水素(H2S)が膀胱における内因性の弛緩因子である事を明らかにしていましたが、H2Sが抗炎症作用、細胞保護作用など多彩な生理作用を有することから、CYP誘発性出血性膀胱炎に対して保護的作用も有する可能性を考え、実験による検証を行いました。その結果、CYPにより誘発されたラットの排尿障害がH2S供与薬の前投与により軽減することが判明しました。加えて、この軽減効果が当初予想していた抗炎症作用ではなく、炎症により過剰興奮した膀胱求心性神経性の興奮抑制に起因することを明らかにしました。
 この研究成果は、CYPによるがん治療時の副作用予防及び軽減にH2Sを標的とした薬物が有用である可能性を示唆しており、今後は副作用予防?軽減薬物開発の基礎資料になるものと期待されます。

 

<論文名> Protective effects of hydrogen sulfide pretreatment on cyclophosphamide-induced bladder dysfunction in rats via suppression of bladder afferent nerves
<和 訳>硫化水素は膀胱求心性神経の抑制を介してシクロホスファミド誘発性膀胱機能障害を予防する

 

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