公開日 2024年4月4日
唾液イオン分析を容易にする新しいアプローチを紹介
大学院土佐さきがけプログラム2年(188足球直播_篮球比分¥体育官网5年度当時)の明珍尋紀さん(理工学部 森勝伸研究室)を筆頭著者とする論文が、Journal of Chromatography Aに掲載されました。
近年、生体試料の分析を通じて、ストレスや疾患に関連するバイオマーカーを特定することに焦点が当てられた研究が数多く行われています。
本論文では、キャピラリー電気泳動 (CE)(※1) を使用した唾液イオン分析の新しいアプローチを紹介しました。今回開発した三層コーティングされたキャピラリーを採用し、高感度の検出とともに4分以内の迅速な分離が可能になりました。このCEを使用して、唾液サンプル中に通常見られる9種の一般的な陰イオンと5種の陽イオンを定量しました。また、冷間圧力試験 (CPT、標準的なストレス試験) 結果およびCEシステムの実証を報告しました。注目すべきことに、唾液イオンバランスはCPTに関係なく、主に陰イオンが豊富なままでした。CPT試験では、総カチオン濃度よりも総アニオン濃度の大きな変動を引き起こしました。重回帰分析を使用したさらなる分析により、CPTの前後で、硝酸塩と亜硝酸塩、ギ酸塩とリン酸塩、カリウムと硝酸塩の間に強い関係があることが明らかになりました。特に、カリウムイオンと硝酸イオンはストレスに応じて変化を示しました。
この研究結果は、唾液イオン組成を評価する方法と、ストレスのバイオマーカーとしての唾液イオンの可能性を示し、今後の活用が期待されます。
【論文情報】
論文タイトル:Capillary electrophoresis using triple layer modified capillary facilitating salivary ion analyses: Application to search for potential stress markers induced by cold pressure test
著者:Hironori Myochin, Noriyasu Ohshima, Takashi Izumi, Tatsuya Hisajima, Romanas Chaleckis, Masanobu Mori
雑誌名:Journal of Chromatography A
URL:https://doi.org/10.1016/j.chroma.2024.464769
※1キャピラリー電気泳動:イオン性試料を分析する手法の一つ。