◆自然科学系農学部門の井原賢准教授らの研究成果が「Scientific Reports」誌に掲載されました

公開日 2024年9月12日

下水中の188足球直播_篮球比分¥体育官网PCR分析における塩基配列変異の影響を解明

―より正しいウイルス濃度を得るためのデータ解析法を提案―

 

 自然科学系農学部門の井原賢准教授の研究グループの研究成果が、2024年5月30日付けで「Scientific Reports」誌オンラインに掲載されました。

 COVID-19パンデミックが起こって以来、下水中の188足球直播_篮球比分¥体育官网RNAをPCRによって定量することで市中の感染状況を把握する研究、下水疫学(wastewater-based epidemiology)が世界的に注目を集め、実際に世界の多くの国で活用されています。日本においても札幌市や仙台市、小松市、養父市、大分市、大津市などで活用されています。

 井原准教授の研究グループは、下水中の188足球直播_篮球比分¥体育官网RNAのPCR増幅曲線の形が、オミクロン株BA.5.2およびBF.5の出現にあわせて変化が現れ、定量値も低くなる傾向になることを見出しました。その原因は、二つの株がPCRのターゲット配列に持つ2か所の塩基配列(※1)変異に起因することを実験的に確かめました。また、PCR増幅曲線から定量値を算出する方法を比較検討した結果、従来、最もよく用いられているCrossing point(CP)法ではなくSecond derivative method(SDM)法やCy0法でデータ解析することで、より正しい定量値が得られることを確認しました。

 この研究成果は、下水疫学における他の様々なウイルスのPCR定量にも応用できる成果であり、今後の下水疫学での活用が期待されます。

 

【論文情報】

 論文タイトル:Explaining the impact of mutations on quantification of SARS-CoV-2 in wastewater

 著者:Noriko Endo, Yoshiaki Nihei, Tomonori Fujita, Makoto Yasojima, Fumi Daigo, Hiroaki Takemori,

 Masafumi Nakamura, Ryo Matsuda, Sorn Sovannrlaksmy & Masaru Ihara

 雑誌名:Scientific Reports volume 14, Article number: 12482 (2024) 

 URL:https://www.nature.com/articles/s41598-024-62659-y

 

※1塩基配列:核酸の分子内での、4種ある塩基の並ぶ順序。遺伝情報の発現はこれによる。

 

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