公開日 2024年9月25日
19億年前の微生物もリンを含む細胞膜を使っていた
超高解像度の新手法によって初期生命の細胞膜の可視化に成功!
海洋コア国際研究所 佐野有司所長らの研究チームによる論文が「Scientific Reports 」誌に掲載されました。
海洋コア国際研究所 佐野有司所長は、東北大学大学院理学研究科の石田章純助教らと生命進化史の鍵となる「細胞膜や代謝」の起源解明に挑む研究チームを編成し、約19億年前の微生物の化石(微化石)を用いた新しい分析手法を開発しました。この手法は、従来困難だった微化石内部の微量元素を高精度かつ高解像度で検出するもので、特にリン脂質に由来する細胞膜中のリンと、代謝の痕跡である酵素に関連するモリブデンの検出に世界で初めて成功しました。これにより、約19億年前の微生物にも、現代のバクテリアと同様の細胞膜と代謝をすでに獲得していた直接的な証拠を示すことができました。
本研究成果は、生命の進化過程を解明する上で重要な手がかりを提供します。将来的には、この手法をより古い地質時代の試料に適用することで、初期地球の生命進化の研究に大きな進展をもたらすことが期待されます。
本成果は9月20日18時(日本時間)、科学誌 Scientific Reports に掲載されました。
【論文情報】
タイトル:Ultrahigh-resolution imaging of biogenic phosphorus and molybdenum in paleoproterozoic
gunflint microfossils
著者: Kohei Sasaki, Akizumi Ishida*, Takeshi Kakegawa, Naoto Takahata, Yuji Sano
*責任著者:東北大学大学院理学研究科 助教 石田章純
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-024-72191-8
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