◆海洋コア国際研究所の奥村知世准教授らの研究成果が、科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に掲載されました

公開日 2024年10月3日

 深海が作り出すイオン電池を発見 ~生命起源の理解に貢献~

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 海洋コア国際研究所の奥村知世准教授が参加する国際共同研究グループは、マリアナ海溝北東斜面の水深約5,700mに位置する深海熱水噴出孔の構造を解析し、熱水噴出孔の中には、イオンを選択的に運ぶための小さな通路が存在し、熱水噴出孔が発電していることを突き止めました。

 イオンの濃度差を利用した発電は、生命がエネルギーを生成する際に利用している仕組みです。この生命の基本的な仕組みが自然に発生していることを発見した本研究は、生命の起源に関する手掛かりを提供するものです。

 今回の研究結果は、生命にとって不可欠なイオンを利用したエネルギー変換が、地質学的な過程によって自然に生じることを示しました。イオンの濃度差は自然界で広く見られ、生命が誕生する以前の太古の地球でも同様の現象が起こっていた可能性があります。また、最近の研究では、土星の衛星エンケラドスなどの氷に覆われた天体で熱水活動が確認されています。将来、これらの天体からのサンプルが地球に持ち帰られ、詳細な解析が行われることで、類似した構造と発電現象が見つかる可能性もあります。

 この研究成果は、科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に2024年9月25日付に掲載されました。

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海底にある熱水が噴き出す場所。海底火山活動によって生じ、ミネラルの豊富な熱水が放出され、周囲には特殊な生物群が生息している。

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  【論文情報】

   論?名:Osmotic Energy Conversion in Serpentinite-Hosted Deep-Sea Hydrothermal Vents

   著者名: Hye-Eun Lee, Tomoyo Okumura, Hideshi Ooka, Kiyohiro Adachi, Takaaki Hikima, Kunio Hirata,
        Yoshiaki Kawano, Hiroaki Matsuura, Masaki Yamamoto, Masahiro Yamamoto, Akira Yamaguchi,
      ? ? Ji-Eun Lee, Hiroya Takahashi, Ki Tae Nam, Yasuhiko Ohara, Daisuke Hashizume,
        Shawn Erin McGlynn,Ryuhei Nakamura
   掲載誌:?Nature Communications
   DOI:10.1038/s41467-024-52332-3

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