公開日 2024年11月25日
10月19日(土)-20(日)、希望創発研究会(10月例会?対面)を実施し、県外企業人、高知県内企業人合せて8名、学生10名、その他関係者9名の計27名が参加しました。
今回は、各チームの研究テーマに向けた調査のために、高知県内各所、主に西部の宿毛市、土佐清水市、四万十市、大月町、黒潮町、四万十町等に赴きました。各チームの訪問レポートをご覧ください。
【チーム1】
チーム1は「人の幸せや地域の幸福について考える」ために、移住関係者(移住してきた人?移住を支援する人)や、地域密着型の企業にヒアリングを行いました。チームはA, Bの2つに分かれ、Aチームは四万十町~四万十市、Bチームは黒潮町を巡りました。
Aチームはまず無手無冠酒造を訪問し、酒造見学の後、番頭の福永様に事業の話、地域の話、福永さんご自身のお話をうかがいました。栗焼酎「ダバダ火振」を世に広げていく過程で、地域出身者の多くの方に協力を得ながら実現してきた話には、地域だけに閉じない地域愛の力を感じました。また、これから地域がどのようになっていくのかといった話では、そこに住む人がどのように感じているのかを知ることができました。
次に、四万十地栗ファクトリーの畦地社長を訪問。工場見学の後、ご自身のこれまでのキャリアと共に、地域と事業に対するお考えや想いをうかがいました。「四万十川式 地元発着型産業づくり」として、地域資源に光を当て、一次産業&二次産業&三次産業の総合的なエコシステムを築いていこうとするお話には地域への想いと、経営者として、そして地域の担い手としての強い覚悟と探求心を感じました。
次に四万十市の止心庵(民宿)のレヴァンタルさんを訪問。海外で知り合ったご夫妻が自分たちらしい暮らしと活動を求め、知人の紹介から高知?四万十での暮らしを始められたそうです。豊かな自然に囲まれた民泊宿には、これまで縁のなかった職業の人や、行ったことのない国からのお客様がいらっしゃるとのことで、こうしたお客様とのコミュニケーションをとることを楽しまれています。地域での生活についても色々とお話を聞くことができました。移住の苦難についての話では、他の訪問先で伺った話を強化する内容であり、興味深く感じました。
住む家と仕事を見出すことがとても大変だというお話が多くありました。また、人口減少?少子高齢化が進む中で、その対策として「移住」が取り上げられますが、その地に暮らす人々にとってはそれぞれに意味が変わってくる。地域のコミュニティは人のつながりの濃さがあり、地域内の常識観もそれぞれにあり、こうした環境への順応が移住にとっては大切な要因であることなどを、改めて考えさせられました。一方で、地域に溶け込むことを必要以上に取り組みすぎることは、移住者本人の求める生活観との隔たりを生み、不本意な生活となる可能性もはらんでいるとのお話が利けました。この話は何人かの移住者に共通してみられる考えでした。インターネットを用いた情報収集では得ることができない話を聞くことができたと思います。各人の発せられる言葉には思いがこもっており、地域を違う視点で捉えなおすことができました。また一方で、地域資源を活かした様々な事業が営まれている中に地域の力や可能性を力強く感じることができました。
Bチームはまず黒潮町のパン屋『Early Bird The Bread Stand』を訪問し、西澤様に話を聞きました。西澤様は兵庫県からの移住者で、移住当初は介護施設で調理の仕事をしていて、2019年に現在のお店を開業しました。西澤様へのヒアリングでは、移住のきっかけ、移住してからパン屋を始めるまでの苦労、商売する上で大変なこと、自治体のサポート、高知の印象など色々な話を聞くことができました。
次に、黒潮町で『シェアパークflat』を経営している西川太悟?朋香夫妻にヒアリングを行いました。西川夫妻は日本中を旅して回った後、2022年から黒潮町の地域おこし協力隊に入りました。地域おこし協力隊として、黒潮町の情報動画制作やSNSでの発信を行いながら、副業として改装した古民家で『シェアパークflat』を経営しています。西川様へのヒアリングでは、移住や副業のきっかけ、元々住んでいる人達との付き合い方、高知に住む人?来る人の印象、黒潮町周辺の職や食、地域の不安などの話を聞くことができました。また、実際にフェアパークflatの中を見せていただいた際に、今年近所に移住してきた増田様ご一家にも会うことができ、移住のきっかけや教育の話などを聞くことができました。
最後、A, B両チームは佐田沈下橋で合流し、四万十川の風景を眺めて訪問を終えました。
【チーム2】
チーム2は「どうすれば自身が住んでいる地域に誇りや愛着を持つことができるのか」というチームの問いを立て、地域で実際に暮らしている方に「その地域の良いところ」や「不便だと感じていること」などを調べるために大月町、土佐清水市、高知市で開催していた「Village」を訪問しました。
大月町の道の駅や土佐清水市の市街地などでヒアリングを行い、当初は、地域に住んでいる人は課題を多く抱えているのではないか、という不安がありましたが、実際に住民の方に聞いてみると「困っていることはないから住んでいる」「インターネットがあるので不便などはあまり感じない」「自然に感動して移住してきた」というお話があり、我々が想像していた課題感とギャップがあることに驚きました。しかし同時に、「公共交通機関が多くなく、車がないと移動手段が限られている」「仕事がないので若者が外へ出ていく」「人が住んでいるように見えるが、多くの家が空き家となっている」「独居の高齢者が多い」「地域の祭りが衰退してきている」というお話もあり、将来に向けて地域の方が持っている課題感についても聞くことができました。高知市の山内神社で開催されていた「Village」では、それぞれが出店している人にお話を伺いました。どの方も温かくお話してくださり、やりたいことや将来の展望などを持っていることを感じ、地域でヒアリングした時とはまた違う印象を受けました。
また、ヒアリングの道中では、それぞれの地域が持つ豊かな自然に触れることができました。「柏島」ではきれいな海を観賞し、ヒアリングした方にお勧めいただいた「竜宮神社」では、まるで映画のような大パノラマを体験しました。
11月の活動では、今回のヒアリングの中で得た「祭り」というキーワードを中心として、チームとして取り組むべき課題は何か、また地域の課題解決のためによそ者として何ができるのか、などをより具体的に見つけていきたいと思います。
【チーム3】
チーム3は高知県大月町を訪問しました。
希望のある社会に向けて何について考えたいかという部分をメンバー間で意見交換した際、少子高齢社会、過疎地域を生き抜いていくためには何を大事にすればいいかと議論し、ウェルビーイング(幸せ、満足感のある状態)に焦点を当てることになりました。そして、『チームで「幸せ」という観点から社会の問題を発見し、解決策を見出す』という目的で大月町を訪問しました。その中で、大月町へ移住してきた方(Iターン者?Uターン者)?大月町に昔から長く住んでいる方を対象に、計4人の方にインタビューをし、地方だからこそのウェルビーイングとは?などのいくつかの部分について議論できるよう、話を聞かせていただきました。
1日目は大月町文化教育交流拠点COSAに伺い、背景の違うお2人にインタビューをしました。1人目は大月町に移住し、大月町地域おこし協力隊林業プロモーションをされている山田千尋さんで、2人目は大月町で生まれ育ち、郷里の人との結婚以来大月町で暮らしている那須涼子さんです。1日目はそのままCOSAに泊まり、COSAの方々にお話を伺ったりもしました。2日目は、COSAで埼玉から大月町に移住した井澤博之さんにインタビューをしたのち、宿毛市に移動し、高知市内から大月町に移住した細川さおりさんにインタビューをしました。
この二日間のインタビューを通して、なぜ大月町に移住しようと思ったのかや、田舎ならではの良さ?好きなところ、自然について、どういったときに幸せを感じるか、生活についてなど、たくさんの話を聞くことができました。