研究紹介

真皮コラーゲン生成に関わる新たな分子

真皮コラーゲン生成に関わる新たな分子
担当:寺石 美香

TGF-βはコラーゲンの合成促進および分解抑制のいずれにも作用し、皮膚の線維化リモデリングに関与する。TGF-βシグナルは、Smadファミリーとそれに関与する様々な制御因子の多彩な作用により構成される。Smad-interacting protein 1(SIP1)は、Smadに結合する転写抑制因子であるdEF1/ZEBファミリーに属するが、皮膚線維化に対する役割は不明であった。
我々は、SIP1の真皮コラーゲン生成への関与について検討した。皮膚線維芽細胞におけるSIP1発現レベルの低下はコラーゲン合成を抑制した。つまり、SIP1はコラーゲン合成に促進的に働くことが示唆された。さらにCre/loxP法により中胚葉プロモータ特異的SIP1ノックアウトマウスを作製した。このノックアウトマウスでは真皮形成の異常を認めた。さらにこのマウス皮膚では実験的強皮症様の皮膚線維化の誘導が抑制された。
すなわちこの分子を標的にすることが、強皮症、ケロイドなど皮膚線維化疾患に対する新たな治療法となる可能性が示された。

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