研究紹介
ホスホジエステラーゼ4 (PDE4)阻害薬
ホスホジエステラーゼ4 (PDE4)阻害薬
担当:高石 樹郎
ホスホジエステラーゼ4 (PDE4)阻害薬は、主として免疫細胞におけるcAMP-PKA-CREB経路をターゲットするように開発され、乾癬やアトピー性皮膚炎の治療に用いられている。我々は表皮角化細胞に対するPDE4阻害薬の作用をあらためて検討した。
PDE4阻害薬であるapremilast、crisaborole、roflumilastの3剤を比較したところ、apremilastとcrisaboroleにより表皮角化細胞内のTNFaとIL1Aが減少した。これはcAMP-PKA-CREB経路とは独立していた。さらにapremilastによるRAF-MEK-ERK経路の阻害作用が明らかになった。
これらの結果は、表皮角化細胞においてはcAMP-PKA-CREBとは異なる経路にPDE4阻害薬が作用して、皮膚炎症の制御に関わることが示唆された。
- Phosphodiesterase-4 inhibitors reduce the expression of proinflammatory mediators by human epidermal keratinocytes independent of intracellular cAMP elevation. Kataoka S, Takaishi M, Nakajima K, Sano S. J Dermatol Sci. 2020 Dec;100(3):230-233. doi: 10.1016/j.jdermsci.2020.09.014