研究紹介
バリアに機能において重要な役割を担うセラミドについて
バリアに機能において重要な役割を担うセラミドについて
担当:中島 喜美子
バリアに機能において重要な役割を担うセラミドは、乾癬、アトピー性皮膚炎で減少している。我々は、セラミド合成経路の律速酵素であるSPT (serine palmitoyltransferase long-chain base subunit 2) を表皮特異的にノックアウトしたマウス(K5.SPT KOマウス)の表現型を検討した。
K5.SPTノックアウトマウスは、角層水分量は低下し、バリア機能の指標であるTEWL(経皮水分蒸散量) は高値を示した。臨床的には、厚い角層を伴うびまん性紅斑を呈し、病理組織学的には乾癬類似所見を示した。皮膚病変は、IL-17A, IL-17F, IL-22,S100A8, S100A9, b-defensinなどの乾癬関連遺伝子が高発現し、また、皮膚病変、皮膚所属リンパ節において、IL-17Aを産生するγδT細胞が存在した。
さらに、皮膚病変においてIL-23を産生する樹状細胞がみられた。
以上のことより、表皮におけるセラミド欠損は、乾癬様病変を誘導することを明らかにした。
- Barrier Abnormality due to ceramide deficiency leads to psoriasiform inflammation in a mouse model.
Kimiko Nakajima, Mika Terao, Mikiro Takaishi, Sayo Kataoka, Naoko Goto-Inoue, Mitsutoshi Setou, Kyoji Horie, Fumiko Sakamoto, Masaaki Ito, Hiroaki Azukizawa, Shun Kitaba, Hiroyuki Murota, Satoshi Itami, Ichiro Katayama, Junji Takeda and Shigetoshi Sano Journal of Investigative Dermatology (2013) 133, 2555–2565