研究紹介
乾癬モデルマウスを用いた乾癬発症に関わるサイトカインヒエラルキー
乾癬モデルマウスを用いた乾癬発症に関わるサイトカインヒエラルキー
担当:中島 喜美子
近年乾癬の病態にTh17細胞が重要な働きをしている事実が示されているが、我々は、乾癬モデルマウス(K5.Stat3C)の皮疹形成におけるTh17の関与を明らかにしてきた。
各種生物学的製剤の投与、あるいはサイトカイン遺伝子ノックアウトマウスとの交配によって、このマウスの皮疹形成にIL-23が最も重要なサイトカインであることがわかった。
またTh17が産生するIL-17は、角化細胞を刺激し好中球遊走などに関わるケモカイン分泌を促進する一方、IL?22は角化細胞を増殖させた。
さらにIL-23は、Th17およびIL-22を産生するNK細胞(NK-22)の誘導を介して乾癬様皮疹の形成に関わることを明らかにした。このように乾癬の病態に関わるサイトカインヒエラルキーを明確にできたことにより、乾癬治療のため生物学的製剤の位置付けや作用機序の解明に大きな貢献ができた。
- PubMedNakajima K, et al. J Immunol, 2011, 186, 4481
乾癬発症に関わるサイトカインヒエラルキー