研究紹介
乾癬発症におけるTACEの役割
乾癬発症におけるTACEの役割
担当:佐藤 健治
乾癬の病態発症におけるTNF-α converting enzyme(TACE)の関与を明らかにするため、乾癬モデルマウスであるK5.Stat3Cマウス耳介にTPAを塗布して形成される乾癬様皮疹の病態を解析した。
その結果、皮疹形成の早期から、炎症の増悪に関与するTNF-αや表皮細胞の増殖に関与するHB-EGF、Amphiregulin及びTGF-αの発現量が亢進していた。これらの分子はいずれも細胞膜表面に局在した後、TACEによる切断を受けて細胞膜から遊離し、炎症の増悪や表皮細胞の増殖に関与すると報告されている。
従って、本モデルの皮疹形成にTACEが関与している可能性が示唆された。本モデルの皮疹は臨床の乾癬に酷似した病態を示すことから、乾癬の病態形成についてもTACEの関与が期待され、TACEが乾癬治療の有用なターゲットとなりうるかもしれない。