研究紹介
セラミド合成酵素ノックアウトマウスにおける皮膚炎発症に関与する細胞群
セラミド合成酵素ノックアウトマウスにおける皮膚炎発症に関与する細胞群
担当:中島 喜美子
アトピー性皮膚炎や乾癬の皮疹部においてセラミドが減少しているが、病態にいかに関与しているかは明らかではない。
我々はスフィンゴ脂質deno vo合成経路の律速酵素であるserine palmitoyltransferase (SPT)を表皮特異的に欠損したマウスの病態の解析を行っている。このマウスは表皮セラミド量が著しく減少するが、生後2週目以降よりバリア障害が出現し、皮膚には乾癬様の過角化、表皮肥厚および真皮炎症細胞浸潤を認めた。表皮内のLangerhans細胞は活性化し、皮疹部および所属リンパ節においてIL-17を産生するgdT(gd-17)細胞が存在することを明らかにした。
また、抗IL-12/23p40抗体を投与することによって皮膚病変およびgd-17細胞の誘導は抑制された。以上のことから、このマウスは表皮セラミドの減少に伴う免疫反応の異常や、乾癬様皮膚炎発症のモデルとして有用と考える。