特殊なインプラント
特殊なインプラント〈歯科口腔外科〉
平成23年度まで「先進医療」の承認を受けて実施していました「インプラント義歯」が、医療の高度化に対応するという観点から平成24年度より「保険」を使ってできるようになりました。ただし、この治療を適用できるのは下に示すように腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷などによって広範囲にわたって顎骨を失ってしまった場合や先天性疾患だけで、歯周病や加齢による一般的な顎骨の吸収などに対するインプラント義歯は全額自費診療になります。この変更に伴い「インプラント義歯」という名称が「広範囲顎骨支持型装置」に変わりました。この広範囲顎骨支持型装置を保険診療として扱える施設は下の施設基準を満たす必要があり、高知県では188足球直播_篮球比分¥体育官网医学部附属病院歯科口腔外科が唯一の施設認定を取得しています(2012年10月末現在)。
広範囲顎骨支持型装置埋入手術の算定要件および施設基準について
算定要件 | 当該手術は、以下のいずれかに該当し、従来のブリッジや有床義歯(顎堤形成後の有床義歯を含む)では咀嚼機能の回復が困難な患者に対して実施した場合に算定できる。 1.腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷等により、広範囲な顎骨欠損又は歯槽骨欠損症例(歯周疾患および加齢による歯槽骨吸収は除く。)若しくはこれらが骨移植等により再建された症例であること。 なお、欠損範囲については、上顎にあっては、連続した1/3顎程度以上の顎骨欠損症例若しくは上顎洞又は鼻腔への交通が認められる顎骨欠損症例であり、下顎にあっては、連続した1/3顎程度以上の歯槽骨欠損(歯周疾患および加齢による歯槽骨吸収は除く)又は下顎区域切除以上の顎骨欠損であること。 2.医科の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関にあっては医科診療科)の主治の医師の診断に基づく外胚葉異形成症等の先天性疾患で、連続した1/3顎程度以上の多数歯欠損又は顎堤形成不全であること。 |
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施設基準 | 1.歯科又は歯科口腔外科を標榜している保険医療機関であること。 2.当該診療科に係る5年以上の経験および当該療養に係る3年以上の経験を有する常勤の歯科医師が2名以上配置されていること。 3.病院であること。 4.当直体制が整備されていること。 5.医療機器保守管理及び医薬品に係る安全確保のための体制が整備されていること。 |
広範囲支持型装置を用いた症例
上顎洞癌の患者さんで、抗がん剤と放射線による治療の後、上あごの骨を部分的に切除したため、上あごの左半分に大きな穴が開き、口と鼻の穴および上顎洞(目の下の蓄膿の膿がたまる所)が交通しています(左写真)。
この方の場合、残っている歯が無いため通常の顎義歯という義歯を入れても非常に安定が悪く、物を食べることが困難です。そこで、残っている上あごの右側に広範囲顎骨支持型装置(インプラント)を3本埋入しました(左写真)。
そして、顎義歯の内面にインプラントと顎義歯を固定する装置(アタッチメント)を取り付け、その装置を介して義歯を口腔内に装着することにより安定した義歯となります。(上写真)