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脳神経外科
脳神経外科とは、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、小児脳疾患、脊髄疾患、末梢神経障害など中枢神経系の器質的疾患を診察し、主に外科的に治療する科です。また、頭痛、めまい、パーキンソン病、てんかんなどの機能的疾患を内服加療したり、時にはこれらに対する外科的治療も行います。
概 要
脳神経外科では次のような疾患を対象にしています
脳腫瘍(神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、聴神経鞘腫など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、頭部外傷、先天奇形(水頭症など)、脊髄?脊椎疾患(脊髄腫瘍など)、機能的脳神経疾患(てんかん、パーキンソン病、頭痛、めまい、三叉神経痛、顔面痙攣など)です。
脳神経外科では次のような症状を扱っています
- 突然の激しい頭痛?嘔吐
- うまくしゃべれない(言語障害)
- 突然の運動?感覚麻痺
- 手足の指の肥大、月経不順、
難治性の高血圧?糖尿病 - 徐々に悪化する頭痛?嘔吐
- 難聴、耳鳴り、めまい
- 半身の筋力の低下やしびれ
(運動?感覚麻痺) - 物忘れの悪化
- 物が見えにくい(視力?視野障害)
- 手で物がつかめない、つかもうとすると
手が震える
診療体制
緊急の対応が必要な疾患も多くあるため、24時間体制での診療を行っております。また、緊急手術にも対応いたします。5人の脳神経外科専門医を中心に、それぞれの専門分野を生かした診療を行っております。
得意分野
特に脳腫瘍の診断、治療を得意としています。脳腫瘍は年間に人口1万人あたり数人という少ない発生率とされていましたが、近年の画像検査の発達と脳ドックなどの検診の増加に伴い、症状のない脳腫瘍(無症候性脳腫瘍)が増えてきています。それらを正しく診断し治療するためには、最新の画像診断と術中の生体モニタリング、術中ナビゲーション、神経内視鏡などを融合した精密で低侵襲な手術が必要です。さらに病理組織検査に基づいて適切な補助療法(化学療法、免疫療法、放射線治療)が必要な場合もあります。当科では脳腫瘍治療の経験が豊富なスタッフが、最新の画像診断装置、手術支援機器、補助療法を駆使して、個々の患者さんに最適な治療を行うよう努めています。
また、脳血管障害に対しても速やかな診断のもと、低侵襲治療である血管内治療を考慮した最適な治療を心がけています。
外来においては、頭痛外来、てんかん外来(成人)、脳腫瘍外来も設けております。
脳神経外科で実施している主な検査は次のようなものです
各種検査
▼ CT
緊急の画像検査として真っ先に行われるのがCT検査です。24時間、迅速に検査が可能で、脳卒中や脳腫瘍の診断だけでなく、造影剤を使えば脳血管の3D評価まで行えます。また当院では、320列CTを2台導入しており、4DCTと言われる脳血流評価が可能となりました。これは脳卒中と戦う最新の検査の一つです。
▼ MRI
拡散強調画像(DWI)による脳梗塞の急性期診断が可能です。また認知症の原因疾患や、無症候性脳梗塞の発見にも有用です。また3テスラMRIの導入により、脳腫瘍の質的診断であるMRスペクトロスコピーや、低侵襲手術に有用な機能的MRI(functional MRI)、トラクトグラフィーによる運動神経や視覚の線維束同定も可能となっています。
▼ 脳血流検査(SPECT;「スペクト」といいます)
脳梗塞を将来発症する脳血流の低下の有無とその程度を評価します。
▼ フラットパネル血管撮影装置
カテーテルの位置を血管の3次元画像にリアルタイムで合成できる3次元ロードマップ機能を備えた最新式のバイブレーンフラットパネル血管撮影装置を導入しています。従来平面的にしか見ることができなかった複雑な血管構造が立体的に把握できるようになり正確で安全なカテーテル操作が可能となります。脳動脈瘤に対するコイル塞栓術や、頸動脈狭窄に対するステント留置術、血管奇形の塞栓術などの血管内治療を行っています。
▼ PET(「ペット」といいます)
脳循環代謝を高感度に捉える検査です。脳血管障害、脳腫瘍の診断と治療方針決定に有用な検査です。当院ではPETセンターを設置し、各診療科が共同で運用し成果を挙げています。
▼ シンチグラフィー
悪性腫瘍の全身検索に有用です。
▼ 頚動脈エコー検査
頚部内頚動脈の狭窄の有無?程度を診断します。脳動脈硬化の診断にも有用です。
▼ 血圧脈拍検査装置
動脈硬化の程度を測る検査です。
先進医療?特殊治療
大学病院の使命である難治性疾患に対する高度で独創的な治療を進めています。また、大学病院ならでは先進的診療機器を組み合わせたテーラーメイド治療を開発?実施しております。
▼ 神経内視鏡手術
広範囲の開頭手術を行うことなく直径3cm程度の穴から内視鏡下に行う手術です。脳腫瘍、脳内出血、水頭症などに対して行います。下垂体腺腫に対しては鼻孔を経由して行います。体への負担が少ないため、従来の手術に比べてより早い離床が可能になります。当科では技術認定を受けた専門医が担当します。
▼ 術中蛍光診断
脳血管障害に対する顕微鏡手術において蛍光色素であるICGを全身投与することにより脳血管が真に開存しているかどうかの術中診断が可能です。また、脳腫瘍手術においても5-ALAを術前投与することにより、摘出術中の残存腫瘍の有無を術中蛍光診断し、摘出率を高めています。当科ではこれらの蛍光診断を可能とする最新の手術顕微鏡システム(Zeiss; Pentero)を導入しています。
▼ ナビゲーションシステム
ナビゲーションシステムとは、術前のCT、MRIの精密画像をコンピュータにインプットして3D合成し、手術中のマーカーの位置をインプットされた画像上に示すことによって、手術中に脳のどこを触っているのかを立体的に把握するシステムです。脳神経外科手術においてはもはや必須といっていい機器であり、当科では以前よりほとんどの手術において利用しています。運動中枢や言語中枢の近くや脳深部の手術において、術後の後遺症を少なくするために非常に有用です。
▼ ノバリスTxによる高精度放射線治療
手術の適応にならない脳腫瘍や脳血管奇形などに対して、定位照射線手術も含めて様々な放射線治療を行うことのできる最新鋭の装置です。従来の定位放射線治療装置に比べて患者さんに対する苦痛が少なく安全性の高い低侵襲治療が可能です。
▼ 悪性神経膠腫に対するWT1免疫療法
WT1抗原は悪性神経膠腫などの腫瘍細胞に特異的に発現する腫瘍抗原です。WT1ペプチドを投与するとWT1抗原を発現する腫瘍細胞のみを標的とする免疫細胞が誘導されるので、安全性と高い治療効果が期待されます。当教室では本学で作成された新規WT1ペプチド(WT1-W10)を用いた悪性神経膠腫(初発?再発)に対する免疫療法の臨床試験を行っています。初発の悪性神経膠腫に対しては標準治療と免疫治療の併用が可能です。
※ 患者の皆さんへ
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