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内視鏡診療部
各疾患分野で内視鏡を用いた診断と治療を専門に行う部門を独立統括し、各診療科との連携を円滑にすることで、内視鏡を用いた専門的な診断と治療の需要に柔軟に応えることを目的としています。
概 要
診療体制
現在は消化管領域の診療を内視鏡診療部スタッフと各協力診療科で担当し、胆膵領域や呼吸器疾患は各診療科の専門医が診療にあたっています。
内視鏡診療部で実施している主な検査は次のようなものです
▼ 上部消化管内視鏡検査
食道、胃、十二指腸までの範囲を観察します。
通常観察に加え、より精密に診断を行う為に色素内視鏡観察、拡大内視鏡検査、画像強調観察(NBI)を適宜行います。病変の存在が疑わしい場合は病変から一部組織を採る「生検」により病理診断を行います。また、早期癌に対して内視鏡的切除の適応決定の補助診断として超音波内視鏡検査を行います。
その他、胃?十二指腸潰瘍や萎縮性胃炎などヘリコバクターピロリ菌の治療の必要がある場合、検査(培養、鏡検、迅速ウレアーゼ試験)を行います。
▼ 大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査とは、腸管洗浄剤を服用して大腸を洗浄した後に、肛門から内視鏡を挿入して、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸、回腸末端(小腸)までの範囲を観察します。通常観察に加え、色素内視鏡観察、拡大内視鏡観察を適宜行います。拡大内視鏡観察では腫瘍性病変に対し、高い一致率で病理診断を予想できるので、内視鏡的ポリープ切除術や内視鏡的粘膜切除術の適応決定を詳細に診断することができます。必要に応じて超音波内視鏡検査も行います。その他、近年増加している炎症性腸疾患(おもにクローン病や潰瘍性大腸炎など)の診断にも有用です。
▼ 小腸内視鏡検査
(カプセル型小腸内視鏡。ダブルバルーン型小腸内視鏡)
小腸は長らく「暗黒大陸」と呼ばれ、小腸疾患の診断?治療は消化器疾患の中でも遅れをとっていましたが、現在では小腸型カプセル内視鏡などによって大きく進歩してきました。患者さんがカプセル(長さ26mm、幅11mm)を飲むことにより、全長6 ~ 7mと長い小腸の粘膜を観察でき、その結果、今まで原因不明とされていた消化管出血や腹痛の診断が、外来で簡便に行えるようになりました。消化管が狭い可能性がある場合には、大きさが小腸カプセル内視鏡と同じで、時間がたつと(30~33時間経過後から)形がくずれて溶けるパテンシーカプセルをあらかじめ飲んでいただきます。形がくずれずに排泄されるか、レントゲンやCTなどで大腸まで進んでいることを確認できれば、カプセル内視鏡を施行することができます。小腸カプセル内視鏡で病変が見つかった場合などには、後日必要に応じて、入院の上、ダブルバルーン型小腸内視鏡という小腸のための内視鏡を用いて、全小腸の観察と治療も行えるようになりました。
▼ 超音波内視鏡検査
超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasound: EUS)とは専用の内視鏡や器具より出る超音波を用いて「病変が胃や腸、食道(消化管)の壁のどこまで及んでいるか」「粘膜の下にある病変は壁のどの層から出ているか」「胃の隣にある膵臓にある病変はどんなものか」など通常の内視鏡では見ることができないものを診断する検査です。またそのような技術を用いて直接組織を採取することが難しい病変から針を刺して組織を採る超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)なども行っています。
内視鏡診療部で実施している主な治療は次のようなものです
▼ 内視鏡的治療
内視鏡的粘膜切除術(EMR)?内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
体に負担の少ない低侵襲な内視鏡的治療に積極的に取り組んでいます。早期の消化管がんに対して大きさを問わず積極的にESDを行っています。胃で最も早く2006年より保険収載され、次に食道で2008年、大腸で2012年より保険適応に認定されました。 それまではEMRという、スネアと呼ばれる輪っかで切除していました。切除できるサイズに限界があり、しばしば分割切除になるため、正確ながんの評価ができず、がんが残ったりすることで局所再発する症例もありました。EMRの弱点を克服した治療法がESDです。当院では早期胃がんにおける多くのESDの経験をもとに、消化管の壁が薄く比較的手技の難易度が高い大腸がんにおいても安全に行っております。
その他、消化管出血に対する内視鏡的止血術(高張Naエピネフリン液注入、エタノール注入、クリップ、アルゴンプラズマ凝固など)や消化管狭窄に対する内視鏡的治療(バルーン拡張術やステント挿入など)を行っています。またGISTなどの胃粘膜下腫瘍に対して腹腔鏡?内視鏡合同胃局所切除(LECS:Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)を消化器外科医と連携して行ったり、咽頭喉頭領域の表在癌に対する低侵襲な内視鏡切除を耳鼻咽喉科医と協力のもと全身麻酔で行っています。