Case.01
私は沖縄で海に親しんで育ったため、海に関する仕事をしたい、またその海に続く世界に出てみたいという気持ちがありました。大学時代に初めて研究航海に参加し、観測の手伝いをしながら甲板上に立った時の高揚感、そして「誰もやったことがない研究テーマ」に取り組むことになり、試行錯誤しながらデータを出し、次のステップを考えて解決していく、という充実感が研究者になるポイントでした。
新しい発見と世界観の変化でしょうか。科学の発見には、これまで当たり前だと思っていた事について視点を変え新規的切り口で調べると“実は違った!”ということが多くあります。このように未知を見つけ解明する事ができるかもしれないというのが研究の魅力です。また、知的探究心は世界の誰もが持っていて、その興味がゆえに国内外の様々な人達と出会い、一緒に仕事ができることも研究の魅力の1つだと考えています。
海洋に生息する単細胞真核生物の多様性・進化・生態について、主に分子生物学的視点で研究しています。真核生物はヒトなどの哺乳類が含まれる大きなグループですが、実は単細胞生物がその大多数を占め、多様性が高いのです。私が扱っている生物は、海洋の食物連鎖を支え、殻・骨格を形成することによって炭素循環などに大きく貢献していますが、分子生物学的研究は未発達です。広大な海洋で遊泳能力のない、これら生物がどのように多様化し、環境に適応し、進化してきたのかはわかっていません。これまで世界の海洋で試料を採取し、遺伝的に異なる種の分布やその進化に関する研究をしてきました。現在、それら生物の根幹となる殻骨格形成に関わる代謝について研究しています。
海には目で見るにはとても小さい(1mmくらい)生物が数多く棲んでいて、たった1つの細胞でご飯を食べ、少しだけ移動をし、中には貝のような殻を作る生物もいます。こうした小さな生物は、人間よりもずっと古い時代(約5億年以上前!)から地球上に生息し、大量の二酸化酸素を利用するなど、実は地球に大きな影響を与えてきました。こうした生物はどうやって広い海で生きているのか、遺伝子などを使ってその仕組みを調べています。
面白い研究をするというのが、研究を活発に進めるモチベーションになると思います。特にアイデアは面白い研究をする源になりますので、教科書や本を読む時も「なぜこのようになるのか?」と考えてみることをお勧めします。また、分野などに捉われず広く興味・関心を持ち、多くの人と議論すると良いアイデアが得られます。そして、そのアイデアは実行しなくては意味がありませんから、実際の計画を立て挑戦してみてください。
朝の2〜3時間は集中力が高まっているので、実験を予定していない日は論文等の執筆などに充てるようにしています。また、通常、昼食を海外出身の同僚の方々ととりますが、その中で他愛もない話題もしながら、研究だけでなく文化の違いなど色々な事を話しています。これはリフレッシュするのに大変良い時間だと感じています。あとは、もう少し運動とかする時間があると良いですね。
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