Case.17
大学2年生のとき、ゼミの先生に学会に誘われたことがきっかけです。当時はみんな就活を意識し始めるころでしたが、私は就活そのものに疑問をもってしまい、モヤモヤを解消できずにいました。そんな折に興味本位で参加した学会でしたが、私が普段慣れ親しんだ教育者としてではなく、純粋な研究者としての先生方の情熱的な姿や会場全体の熱量に圧倒され、「私もこの場の一員になりたい、志を持った研究者になりたい」と強く感じました。
新しさが求められ、多様性が認められることです。突拍子もないように見えるアイディアでも、これまでの研究の積み重ねから慎重に導かれ十分に検討されたものであれば、評価されるとともに仲間が一緒にその発見を喜んでくれます。この新しさと多様性が同時に研究の苦しさでもあるのですが、苦しさを乗り越えた末に、今までにないものを自分の名前で世に送り出していく達成感があります。意外と地味な作業が多い研究活動ですが、その一瞬のために努力を重ねています。
私は高知大学に着任して1年ちょっとになります。担当授業のデザインなど、初年度は教育業務に割く時間が多くなりがちですが、少しずつ要領を得て、研究時間を確保できるようになってきています。根を詰めて疲れた時は、コーヒーを買ってキャンパス内の木の下で一息つくことも。面白い研究アイディアを思いつくのは、大体こうしたほっとする時間です。
私の研究対象は消費者行動ですが、これは自分や身近な人の普段の振る舞いに研究のヒントが隠れているということでもあります。ふと見た広告やSNS上のつぶやき、何気なく商品を手に取る行動に、消費者の本音が見え隠れしています。こうした小さな事柄を見逃さないためにも、意識的に色々な事に興味を持つようにしています。
「時は金なり」という言葉は有名ですが、本当にそうでしょうか。「時間をお金で買う」とも言いますが、では1時間は一体いくらなのでしょう。忙しい人は、時間を節約しようと時短家電を購入します。けれども、それで節約された15分を、一体何に使っているのでしょうか。時間はお金と同じく消費者が持つ資源であり、それがどのくらいあるかによって買いたいと思うモノやサービスが異なってきます。このように、消費者の時間の使い方が購買行動に与える影響を研究しています。
研究の出発点は疑問を持つことです。大人になるにしたがって、「これはこういうものなんだろう」となんとなく納得してしまうことが増えてきますが、ぜひこの感覚に挑戦してほしいと思います。当たり前だと思うことにこそ、新しい発見が隠れているかもしれません。ちょっとした違和感を大事にしてください。
自分のためだけの時間を意識して取るようにしています。私はバイクに乗るのが趣味なので、最低月に1回はツーリングに行くだけの日を確保しています。まとまった時間が取れなくても、20分あればゆったりコーヒーを淹れたり、10分あれば軽い運動をしたりします。時間配分の研究をしていながら、仕事もプライベートも100点満点!の1日を過ごせることはほとんどありません。それでも、そんな日もあるさと図太く開き直り、研究を続けていくことが大事だと思っています。
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