Case.30
子供の頃から海外生活に憧れていたので、大学卒業後に海外移住する道を探していました。開発学の分野に興味があったので、英国の大学院留学を検討していましたが、スコットランド人の夫(当時は彼氏)の勧めでまずはワーホリで行ってみることに。渡英から約1か月後、東日本大震災が発生。急遽エディンバラ大学の留学生が引き上げてくることになり、その学生たちの特別授業にボランティアとしてお手伝いに行ったのが、日本語教育との出会いでした。
初めて日本語の授業に参加した時に、日本語の文法を説明するスコットランド人の先生を見て、「そうだったんだ!もっと知りたい!」と思いました。あの高揚感は、今も授業の準備をしていたり学習者からの質問を受けたりする中で湧き上がってきます。田舎に帰ってきても地域の日本語教育という分野に携わりたいと思ったのは、日本語について考えたり学んだりすることで、日本人である自分のルーツや背景、考え方を紐解くことができ、自分という人間や周りとの人間関係をより深く理解できるからです。
村内の在留外国人の言語や生活面のサポート体制を整えるべく、私は今、村内で外国人就労者を雇用する企業2社と、どのような日本語教育提供が実現可能かを話し合っています。帰国直後は、既に教室を持つ他の地域に見習って同じように始めてみようと考えていましたが、関係者に話を聞くうちに、それぞれのニーズを満たせるような形を模索するのが一番だと思うようになりました。その模索から開設までの経緯を自分の研究活動としようと思っています。修士論文以外に論文を書いたことはなく、学校型と地域型の教育は大きく異なっているため分からないことばかりですが、新しい環境での新しい挑戦に胸が膨らみます。論文にすることで、地域の日本語教育を必要とする関係者の声をより多くの人に届けたいです。
「電車でスマホを盗まれた」も「誰かが電車で(私の)スマホを盗んだ」も、文法的には問題ありませんが、前者のほうが自然に聞こえませんか。「Do you know this person?」は、「この人をご存知ですか」「この人、知ってる?」「この人、知っちゅう?(土佐弁)」と様々な言い方があり、私たちは無意識に使い分けています。そもそも、なぜ使い分けるのでしょうか。日本語学習の目的や環境、使用頻度などにもよりますが、語彙や文型だけでなく、その使い分けやニュアンスの違いを学習者に説明し、実際のコミュニケーションを円滑に行えるようにサポートするのが私の仕事です。
将来どんな仕事がしたいかわからない、特に興味のある分野がこれといってないという方は、声をかけてもらったこと、人に頼まれたことや他の人が手をあげない作業を、環境が許すかぎり引き受けてみてはどうでしょうか。私も最初から日本語教育に興味があったわけではなく、私なんかで役に立てるならと、そんな軽い気持ちであの教室に行ったのがきっかけです。まさか自分が日本語教師になるとは夢にも思っていませんでした。今はやりたいことが分からなくても、出会いのチャンスを逃さずにいれば、自ずと見つかると思います。
私の家族は、夫、長女(4歳)、次女(0歳9か月)、愛犬(11歳)の4人+1匹家族なのですが、家族団らんの時間に加えて、その一人一人との時間も大切にしています。次女の出産、引っ越し、新しい仕事や生活環境の整備などで、この1年はその時間が満足に取れず、私の心のバランスが不安定でした。2023年はそこを見直すと同時に、自分一人でコーヒーショップに行ったり読書をしたりする時間も大切にしようと思っています。
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