研究室紹介
当教室では職業?環境医学Occupational and Environmental Medicineの基礎的、予防医学的、臨床的研究を総合的に行っている。 主なテーマはじん肺、アスベスト肺などの職業性呼吸器病の総合的研究、気管支喘息の疫学的、実験的研究、途上国における産業保健?地域保健などである。じん肺のデジタル胸部画像や気管支喘息の実験的研究についてはいくつかの企業と共同研究を行っている。
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当教室では職業?環境医学Occupational and Environmental Medicineの基礎的、予防医学的、臨床的研究を総合的に行っている。 主なテーマはじん肺、アスベスト肺などの職業性呼吸器病の総合的研究、気管支喘息の疫学的、実験的研究、途上国における産業保健?地域保健などである。じん肺のデジタル胸部画像や気管支喘息の実験的研究についてはいくつかの企業と共同研究を行っている。
私たちは、シリカ、石綿その他の有害粉じんを吸入した個人や集団の追跡調査を行っている。検診ツールの世界標準のILOじん肺エックス線分類の普及と共に我々が国際共同開発した職業環境性呼吸器病のためのCT分類(ICOERD)の応用研究を進めている。前任地の福井大学(日下幸則教授)で富士通と共同開発したICOERD Viewer ver.1はじん肺などのCT分類の研究?教育用のビユアーで半定量的な判定を初心者にも可能にする。これを発展させ、エックス線装置メーカー、情報システム企業、他大学の工学部などと協力してじん肺の自動判定装置の開発を進めている。また、他大学や国立がんセンター研究所と共同で職業性の石綿曝露者を対象に中皮腫?肺がんなど職業?環境性の悪性腫瘍を早期発見するバイオマーカーの開発と実際応用を進めている。このような最新の知見を総合して、悪性および非腫瘍性石綿関連疾患のスクリーニング法の再検討を行っている。
職業?環境性呼吸器病は空気中の浮遊粉じんを吸入することが原因となる。その粉じんの性質により、気管支喘息のようなアレルギーや慢性炎症を起こしたり、じん肺のような不可逆性の線維化を起こしたり、発がんを引き起こす。これらの機序を説明するために動物モデルや培養細胞を用いての実験を行っている。現在、農林海洋科学部や金星製紙、カンキョーと共同でアレルギー疾患の発症予防のための空気清浄機や浄水器用フィルターを開発している。また、自然界のさまざまな生体防御因子が気管支喘息に対して予防的に働くかについても薬剤部や海洋コア総合研究センターなどと共同で検討している。
第一次産業や第二次産業が主である途上国においては日本が経験し克服してきた感染症や職業病が未だに蔓延している。長年ILOじん肺専門家としてタイ、ベトナム、インドネシアから招聘されILOじん肺講習会を行い各国がWHO/ILOけい肺撲滅計画に則り国家計画の策定を支援している。その結実の一つがタイで実現しようとしているAIR Pneumo(アジアじん肺読影医養成プログラム;リーダー:日下幸則教授)である。これは現地の厚生省や医師達と共に講習内容、能力判定試験を開発し、講習会を定期的に実施し専門家を養成しようとするプログラムであり、ILOも支援を表明している。
また、コンゴ民主共和国にあるルブンバシ大学?キンシャサ大学の二校と共同研究を立上げ途上国における産業医学の整備と地域保健に関わる研究を推進する。一例は保健?農業?教育のサブユニットからなる「平和村プロジェクト」を持続可能な地域自立支援プロジェクトの科学的検証と医療従事者の産業保健である。
こうした国際保健に関わる研究は、地域でのフィールドワークに通ずるところがあり、国際保健に用いる技術を県内の農業従事者、漁業従事者の健康問題に応用すべく、高知県下でのWISE(小規模事業所の参加型改善活動)とWIND(農村地域の参加型周辺開発)を高知産業保健推進センター等と連携して進めていく。