私たちが担当する脳神経疾患や筋疾患は難治性で、いまだ本質的治療法のない疾患が非常に多く、人間が人としてご普通の生活を送るためには、これらの脳神経疾患?筋疾患の治療法や予防薬の開発は、重要かつ喫緊の課題であり、私たちの研究目標であります。
パーキンソン病では、運動合併症の発症機序、各種非運動症状の発症機序に関する研究、姿勢反射障害の評価方法の開発、転倒を防ぐ方法の開発、経過中に出現する認知症と脳機能画像との関連についてなどの研究を行っています。進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症では、自律神経障害、認知機能障害の出現を自律神経検査および脳機能画像を用いて、より早期から異常を検出する研究を行っています。少しでも早期から治療介入を始めることができるように、早期診断を可能にする研究も行ってきました。
多発性硬化症?視神経脊髄炎では、脳脊髄液検査、MRI検査、自己抗体、誘発筋電図検査の結果を総合的に判断して、各々の患者さんに対して最適の急性期の治療法と再発予防薬を選択しております。筋萎縮性側索硬化症では、最新の治療を行っております。重症筋無力症でも、急性期から慢性期まで、最新の治療を含めて集学的治療を行っております。認知症診療では、綿密な診察と各種機能画像検査を行い、患者さんそれぞれに最適の治療を行っております。
このように当科では、脳神経内科全般においてハイレベルの診療を行っております。また、慢性期の治療、リハビリテーション、エダラボン点滴治療や新規薬剤の投与においては、関連病院を含む近隣の病院にこれらを実施していただいていることが大変多い特徴があります。
教育、研究においては、「一人ひとりの患者さんを診て、真摯に対応し、最善の方向を考える」ことを繰り返して的確な目標を見出すこと、より良い結果を得るには何を行うべきか?を考えて結果を出すことが肝要と考えます。脳神経内科の領域で、高知発の優れた研究、高度医療を目指してゆこうと考えます。
いままでにも大変多くの患者さんを紹介していただきました。これからも脳神経内科の領域において、大学病院での検査や診断が必要な場合や治療法の選択においてお困りの場合などは、是非患者さんを紹介していただけますようにお願いいたします。大学病院と関連病院を含む近隣の病院と間の連携を密に行うことが、良い治療?良い医療につながります。
私たちは、患者さんを診察し、真摯に向き合い、最善の対応法を取ることを日々実践します。このなかから医学研究の目標を立て、その目的を達成するにはどうすればよいのか?を日々考えます。良い臨床のなかで、良い研究が可能になります。これまでに関連病院を含む近隣の病院からいただいたご協力に加えて、これからもさらに連携を強化して、より良い臨床を進め、より明るい未来につなげたいと考えております。