研究室紹介
放射線医学は、CT/MRIなどの画像診断、核医学(機能代謝画像)、画像診断技術を治療に応用したIVR、患部に放射線を照射して治療する放射線治療の4つの分野から構成されています。放射線診断?IVR教室では放射線医学を構成する4分野のうち、放射線治療分野以外の3つの分野を担当しております。
画像診断分野
近年、コンピューター断層撮影法(CT)や磁気共鳴画像(MRI)などの画像機器が急速に進歩しました。その結果、膨大で詳細な画像情報が得られるようになり、現在の医学を支える重要な要素となっています。当科では、画像診断のエキスパートである放射線診断専門医が画像を読影(解析)し、正確で信頼性の高い報告書を各診療科に提供して、病院の診療の質や患者さんの健康の向上に貢献しています。また病態に応じた適切な撮影を指示することにより、無駄な検査を省き、放射線被ばくの低減にも寄与しています。
核医学分野
核医学検査は、微量の放射線を出す放射性医薬品を体内に投与して、その分布状態(どこに集まるか)から代謝や機能の評価を行う検査です。当科の核医学検査は、附属病院PET センターにおいて2台の SPECT (single photon emission computed tomography) 装置と2台の PET/CT (positron emission tomography) 装置を用いて行っています。SPECT は1方向のガンマ線を放出する放射性医薬品を用いる検査です。PET/CT検査は正反対方向のガンマ線を同時に放出する放射性薬品の検査で、最近話題の分子イメージングの一つでもあります。SPECT、PET/CTを用いて、腫瘍、炎症、脳、甲状腺、肺、肝臓、消化管、その他病変の種類や臓器の機能など目的に応じて多岐におよぶ検査を施行しています。
PET センターでは、全国的にもトップレベルの PET/CT 検査数をこなしています。サイクロトロン、多目的合成装置を保有しており、2017年からはメチオニン PETを開始しています。将来的にはさらに他の核種を用いたPET/CTの研究および臨床での活用も検討されています。代謝や機能評価を目的とする核医学検査はCTやMRIと相補的な役割を担い、診断や治療効果判定に活用されます。
IVR分野
インターベンショナルラジオロジー(IVR)とは、レントゲン透視、CT、超音波などの画像診断装置を駆使してからだの中を透かして見ながら、体表に作った「針穴」よりカテーテルという細い管や針などの医療器具を病巣まで入れて行う治療の総称です。針穴程度の傷をつけるだけですから、多くのIVR手技は局所麻酔下で行われます。病巣までカテーテルや針などを進めた後、「(薬剤などを)注入する」、「(狭いところを)拡げる」、「(血管などを)詰める」、「(病変を)焼く」、「(液体などを)吸引する」などの単純な行為を行って病気を治療します。少し前までは、このような単純な行為でも外科手術を必要としていましたが、最近では、症例によっては低侵襲なIVR治療でなおすことが可能となってきました。病変に対してピンポイントにアプローチできますので、低侵襲にもかかわらず、大きな治療効果を上げることが期待できます。当科では、チーム医療の中で各診療科と連携して、先進的なIVR診療を数多く提供しております。