各科の一般的、先進的な治療?手術など
一般的治療
診療科(部)名 | 整形外科 |
対象となるがん病名 | 骨軟部腫瘍 |
骨軟部腫瘍は、腕や脚、胴体の骨組織、もしくは、軟部組織(筋肉、脂肪、神経、腱、血管など)から発生します。腫瘍の性質から、良性、悪性、腫瘍類似病変に分類され、画像所見だけでは区別が難しい場合があります。腫瘍に見間違われやすい炎症性疾患や代謝性疾患などで受診される方もいるため、診断や治療には専門的な知識や技術が必要になります。また、腫瘍が発生する臓器は、頚部より末梢の運動器であるため、骨軟部腫瘍の治療に際しては、からだの支持性や機能性を維持し、できるだけ生活の質が低下しないような配慮が必要ですので、おもに整形外科医が診断や治療にかかわります。
非上皮性組織である骨や軟部組織から発生する悪性腫瘍は、肉腫とよばれる“がん”の一種で、発生頻度は非常に稀で、高知県の人口から推定しますと、1年間に十数人程度しか発生しません。骨組織の肉腫として代表的なものは、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫などがあり、軟部組織の肉腫としては、さまざまな組織に分類されるため、総称して軟部肉腫と呼ばれています。
診断は、身体所見、画像検査、病理組織学検査が重要で、診断に難渋する場合は、放射線診断医、病理診断医、他の骨軟部腫瘍専門医と相談しながら診断を行います。
治療は、画像や病理組織の診断に基づいて進められ、骨や軟部に発生する肉腫は多数の種類に分類されており悪性度もさまざまですので、手術療法だけでなく、抗癌剤による化学療法や放射線治療の併用が必要な場合もあります。手術療法では、肉腫の種類や悪性度に応じて、局所再発をできるだけ少なくするために、腫瘍だけでなく周囲の正常な組織も一緒に切除すること(腫瘍広範切除)が必要な場合もあります。そのため、腕や脚に発生した肉腫の手術療法では、腫瘍が発生した腕や脚(患肢)を温存し機能を維持する方法(患肢温存術)が重要となってきます。当科では、できるだけ自分の骨で患肢を温存する手技として、パスツール処理、血管柄付き腓骨移植、骨延長術などを積極的にとりいれて、手術をしています。自分の骨で再建が難しい場合には、腫瘍用人工関節置換術などで患肢温存に努めています。また、腫瘍切除後の広範囲な軟部組織欠損には、筋皮弁などの遊離組織移植術で対応しています。その他、上皮性組織から発生する癌(乳癌、前立腺癌、肺癌、消化器系の癌など)が骨に転移した状態の転移性骨腫瘍に対しては、それぞれのがんを治療している担当医師と相談しながら、病状に応じて、がん性疼痛の緩和や生活の質の維持のための治療を行っています。
腕や脚、胴体の“できもの”に気づいた場合や、お近くの病院のレントゲン検査で、骨の異常を指摘された場合には、骨軟部腫瘍の診療に慣れている整形外科や当院の整形外科にお気軽に受診してください。