各科の一般的、先進的な治療?手術など
一般的治療
診療科(部)名 | 歯科口腔外科 |
手術?治療名 | 導入化学/放射線/免疫療法?縮小術?超選択的持続動注化学療法?保存的頸部郭清術 |
対象となるがん病名 | 口腔がん |
■ 口腔がんとは
口腔がんとは口の中にできるがんで、舌にできる舌がん、上あごと下あごの歯茎(歯肉)にできる歯肉がん、舌と歯肉の間にできる口底がん、頬の内側の粘膜にできる頬粘膜がん、上あごの粘膜にできる口蓋がんなどがあります。口腔がんのほとんどは扁平上皮がんというものです。これは粘膜表面の細胞ががん化するものですので、表面的に何らかの異常(傷?ただれができる、白色?赤色に変化する、表面がブツブツして盛り上がる)が出てきます。ただ、表面に異常がないからといって安心はできず、粘膜の下の唾液をつくる組織(唾液腺)にできるがんなどは粘膜表面には異常がないこともあります。がんは痛いというイメージがありますが、最初は我慢できないような痛みは無いので、痛くないからといって放置するのは危険です。
■ 治療方法
口腔は発音、咀嚼、嚥下などの重要な機能に関わっています。そこで、口腔がんの治療に際しては口腔機能をいかに温存するかという点に留意しています。具体的には、がんの大きさが2cm以下の場合は術後の機能障害はほとんどありませんので、手術のみを行います。がんの大きさが2cmを越える場合はいきなり手術をするのではなく、まずは放射線、抗がん剤および免疫賦活剤による治療を行ないます(導入療法)。これらの治療により約4割の症例では腫瘍は消失し、手術は必要なくなります。最近では、がんの栄養血管に小さな管を挿入し、その管を通して抗がん剤を注入する方法(超選択的持続動注化学療法)を行なっており、腫瘍が消失する症例がさらに増えています。これらの治療で腫瘍が消失しない症例では手術が必要になりますが、導入療法により腫瘍が小さくなった場合には元の腫瘍の大きさより小さく切除する(縮小術)ことが可能となり、機能障害を少なくすることができます。縮小術ができずに大きく切除しなければならない場合には、他科と協力して他部位の皮膚?筋肉?骨などを組織欠損部に移植して口腔機能および審美性の維持を図ります。
首のリンパ節転移に関しては、術後の機能障害はそれ程強くありませんので手術(頸部郭清術)を行いますが、症例によっては残すことのできる血管、神経、筋肉を可能な限り残す保存的頸部郭清術を行なっています。