心筋症の領域では、肥大型心筋症?拡張型心筋症?心臓サルコイドーシス?心アミロイドーシスなどの臨床データを解析し、診断および予後予測の向上に関する研究成果を発表してきました。現在は、肥大型心筋症とファブリー病における日本国内多施設共同の前向き登録調査研究主幹施設として日本初の大規模データ収集?解析を実施しています。
また当講座では、早くから心筋症の病因遺伝子変異解析に着手し、特に肥大型心筋症患者における病因変異解析では世界に先駆けた研究内容を報告してきた実績があります。現在は、他施設とも共同で肥大型心筋症のみならず他の心筋症患者の病因変異解析を実施しており、新たな知見を世界に発信できるよう取り組んでいます。
高知県の高齢化率は34.8%(2018年)と全国第2位であり、高齢化先進県と言われています。心不全は老年期に増加し、80歳以上の心不全発症率は10%程度と報告されています。人口の高齢化に伴い心不全患者の平均年齢も上昇し、心不全診療の対象の多くは高齢者となっています。一方で、高齢者心不全の疾病管理、また慢性期の診療体制は十分に確立?整備されているとは言えない状況にあります。
2017年より、高知県内の循環器診療の中核施設の協力を得て、「高知急性非代償性心不全レジストリ(YOSACOI研究)」を開始しました。本研究は、高齢者心不全患者の心臓死および心不全による再入院の規定因子を同定するため、循環器内科的見地のみならず、生活環境を含めた社会的因子やフレイルなどの老年医学的視点からの評価を行い、心不全再入院予防戦略を構築することを目的としています。
得られた知見により高知県内の心不全患者の臨床像について理解を深め、心不全診療を向上させることで高齢心不全患者のQOLおよび予後の改善に貢献していきたいと考えています。