生物資源と宇宙利用

 2006年4月1日、高知県で初めての統一ブランドである「土佐宇宙酒」が世界で一斉発売されました。高知県の優れた清酒酵母「高知酵母」と高知県で生まれた酒造好適米を用いて、高知県のすべての蔵元が持つ優れた醸造技術で作られ、厳しい官能審査に合格した清酒ブランドです。現段階では、宇宙環境を体験した「高知酵母」を用いて、地球上での醸造に活用しただけです。今後は宇宙環境を生物育種の場として利用できるかどうかや、宇宙環境が生物資源の生産や加工に及ぼす影響を評価しなければなりません。

 こんな活動は宇宙の商業利用にとどまらず、宇宙生活におけるヒトの健康を考えた食料生産や、宇宙の生活環境を健全に維持するための物質循環、リサイクルを考える研究へと発展させなければなりません。微少重力、嫌気条件下での酵母の発酵に加えて、乳酸菌を用いたプロバイオティクスや、酸素と機能性物質を供給する微海藻類の生産など、高知大から発信する環食同源プロジェクトのための宇宙利用も検討されて行くことでしょう。

 

 


宇宙から戻った酵母を用いて醸造試験を行う工業技術センター職員と農学部生2005年10月1日にロシアのソユーズロケットで地球を離れた高知産酵母は、ロシア宇宙ステーションに約8日間滞在して地球に戻ってきました。上の写真は工業技術センターで高知酵母を宇宙に飛ばす準備をしている様子です。

宇宙から戻った酵母を用いて醸造試験を行う工業技術センター職員と農学部生

環食同源