生命の基本単位である細胞は、ゲノム装置(核酸とその一次産物であるタンパク質)とそれを包む生体膜からなり、どちらを欠いても細胞としては成り立ちません。生体膜はゲノム装置が働く境界を定義します。細胞膜は環境と細胞の接点でもあり、環境から細胞へ、逆に細胞から環境への情報伝達の仲介役もします。
本拠点では、生体膜を切り口として生命システムに迫りたいと思います。生体膜の基本構造は、遺伝子の直接産物ではない脂質と糖鎖で出来ていますが、そこに、遺伝子の直接産物である膜タンパク質(糖タンパク質)が組み込まれ、三位一体となって機能ユニットが形成されます。これまで、ゲノミックスやプロテオミクスの研究でゲノム装置に関する理解はかなり進みましたが、生体膜に関しては未知なことだらけです。
本拠点では、生命システムを制御する生体膜機能を明らかにするために、三つの研究課題を設定しました。
■課題1:未知の膜構成分子をみつける
■課題2:生体膜上のどの分子とどの分子が協働して機能ユニットをつくるかを明らかにする
■課題3:細胞膜から核へ、逆に核から細胞膜へどのように情報が伝わるかを明らかにする
本拠点は、糖鎖、脂質、タンパク質、核酸を遍く研究できる経験と実績を持つ生化学・分子生物学者、それぞれの専門領域で生命現象に関する課題を持つ薬理学者や免疫学者や微生物学者、臨床上で課題を有する臨床医学者や病理学者で構成され、お互いに補完しあいます。
本拠点は、世界的に人材難の生体膜分野の後継者を育成するとともに、拠点外の臨床医・研究者が各自の課題を分子レベルで解明する研究をサポートいたします。