現在当教室では、病理診断結果報告を迅速正確に伝達する目的で、現在複数の病院との間で、病理診断送信回線システムを設置し、日常業務で運用しています。
このシステムは、病理学講座教室内に病理診断専用のコンピューターを設置し、各施設に回線端末コンピューターを配置してこれらをISDN回線にて連結し、高知大学医学部病理学教室と関連医療施設とをオンラインで結び、病理診断結果報告を迅速正確な伝達を試みるものです。
オンラインを用いた病理診断システムとしては、いわゆるテレパソロジーといわれる回線システムがあります。しかし、これは病理標本所見を画像として転送し、遠隔にて病理医と病理医もしくは病理医と臨床医との間で、特に問題症例の診断について議論、検討及び確認を行うシステムであり、文書の転送と異なり、病理標本画像の転送は大容量となるため転送に時間を費やし、画像処理の端末も、鮮明な画像解析を行うためのハイビジョンモニター及び搭載機器を必要とし、結果として回線使用料及び設備投資に高額な経費を必要とします。
しかし、我々が他施設より請け負う病理検体の大多数は我々認定病理医の日常診断業務において処理可能な範囲であり、正確な診断はもとより迅速な結果報告こそが臨床のニーズに適っていると思われます。
我々のシステムはテレパソロジーとは目的の異なるもので、オンライン送信による回線システムを利用し、これまで、病理診断報告書の郵送に必要としていた時間をなくし、瞬時に臨床の場に文書としての正確迅速な病理診断報告を可能とするものです。
▼従来のシステム▼
▼新システム▼
病院側受信端末患者基本情報を入力すると、依頼用ID (バーコード番号) の作成がなされ、バーコードシールの印刷がなされます。あとは、検体容器にバーコードシールを貼って頂き、通常の病理診断申し込みと同様、検体、病理診断申込書を発送していただきます。
診断後、オンラインで、診断書の発送を行います。これまで郵送に要していた数日間を短縮でき、報告書として従来より早く確認することができます。(紙面による病理診断報告書、作成したプレパラートも後日、依頼病院に発送されます。)
病理組織診断をオンラインで送信するにあたり、個人情報の保護が最も問題となります。システム上の個人情報の取扱い、送信の際のデーター変換の実際に関しては、次項を参照ください。
患者情報も個人情報保護条例に則った厳重かつ慎重な取り扱いが必須です。したがって、当該システムでは検体情報入力から病理診断結果報告に至る一連の過程で、個人情報が漏洩しないよう、様々な配慮がなされています。
サーバーより送信用端末にデーターを移行する際には専用のUSBメモリーを使用し、個人情報が入力されているサーバーは外部とラインを接続しておらず、各病理医が診断入力時に使用する各端末に関しても診断専用端末を用意し、外部ラインとは接続されておらず、当教室の病理診断専用システムは完全なイントラネットになっています。また、万一に備え、念のためにアンチウイルスソフトをインストールしてあり、病理診断に使用する端末は、マッキントッシュ社製のものを使用し、Windows は使用していません。
病理診断用イントラネット内の情報より、病理番号、病理診断データーを教室送信用端末に書き出すと、教室送信用端末では、病理番号をキーとして、病理診断・所見に依頼用IDを添付します。
この依頼用ID、病理番号、病理診断・所見のみがデーターとしてオンライン送信され、
依頼病院名を含め、患者情報は一切送信されません。
送信されたデーターは依頼病院側端末において、今度は依頼用IDをキーとして、検体発送時に入力された患者基本情報が添付され、報告書として印刷されます。
上記システムにより、仮に送信中に盗聴などされたとしても、個人の特定はできないようになっています。
バーコード等を活用することで、病院?教室間でのデーター移行時の検体取り違えの人為的ミスを防ぎ、病理診断・所見と病理番号の確認も病理診断時に印刷する報告書紙面上で1回、データ-送信時に、送信用端末画面の病理番号、病理診断・所見と、紙面に印刷した病理診断報告書の病理番号、診断・所見の相違がないことを確認し、計2回の確認により、検体、患者の取り違えが発生しないよう細心の注意を払っています。
さらに詳しい説明や資料のご入用な方は下記にご連絡ください。
〒783-8505
高知県高知市岡豊町小蓮
高知大学 医学部 病理学講座
担当:倉林 睦
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