時に人は、生態の構造、機能や代謝が様々な障害因子によって正常範囲より逸脱した状態、病気になります。病理学とは、病気になった原因を探り、病気になった患者の身体に生じている変化が、どのようなものであるかを研究する学問分野で、医学、医療になくてはならない情報を提供しています。さらにこれらの研究成果は実際の患者の病気の診断や検診および病気の予防にも生かされており、病気の原因や機序について研究する基礎医学と、疾患の診療について研究する臨床医学の橋渡しを担う学問といえ、基礎医学的側面と臨床医学・社会医学的側面の双方を併せ持った学問といえます。
▼基礎医学としての病理▼
組織診断という臨床医学的な側面と同時に、病気になった原因を探り、病気になった患者の身体に生じている変化が、どのようなものであるかを研究する基礎医学的な側面も持っています。病理学はその研究の対象、方法により人体病理学と実験病理学に分けられてきました。人体病理とは患者さんから得られた病理検査用の検体、手術摘出材料、病理解剖によって得られた組織が研究の対象として用いられる人体組織を研究の主体としたもので、一方、実験病理学は実験動物や培養細胞を主に用いて研究を行います。組織や細胞の形態を観察するという病理本来の手法に加え、近年、病理学の世界にも遺伝子といった分子生物学的手法を用いた研究が盛んになってきており、分子病理学といわれる分野が大きな比率を占めるようになってきています。
▼学生さんへ▼
本学の病理学には一口に病理学といっても病理診断に力を注いでいる教室員、研究に主眼をおいている教室員と様々であり、研究も人体病理学から分子病理学まで各々が興味のある分野で研究を行っています。病理診断に興味がある人も、研究に興味がある人も、好きな分野でのびのびと仕事ができると思います。臨床面では、病理診断という治療指針となりうる情報を臨床医に絶えず提供する、責任もあると同時にやりがいのある業務を行っています。本人の熱意次第で研究に打ち込むこともでき、充実した研究者生活も送ることができます。さらに多くの病理医が社会的にも求められています。医師には病理医という道もあります。どの病理学に興味がある人も、一度気軽に教室を尋ねてください。