教室紹介

  • 沿革
  • スタッフ紹介
  • 臨床
  • 研究
  • 教育
  • 業績

研究

神経障害性痛における病態機序解明と治療応用への基礎的研究

(先端医療学コース: 学際的痛み治療研究班; http://www.kochi-ms.ac.jp/~citm/member.htm#yokoyama)

神経障害性痛は, 難治性慢性痛の主要な原因で, 生活の質を低下させ就労問題や社会的損失も大きいと考えられています。これまでに多くの新規治療薬の候補が検討されてきましたが, 未だ有効な治療方法が見出せていないのが現状です。 その原因の一つとして, 神経障害性痛の病態が, 痛覚伝導系の異常に留まらず, 精神?心理的側面にまで及ぶ複雑系であることが挙げられます。 その中でも, 神経障害性痛の痛覚伝導機序と比較して, 精神?心理的側面に対する 研究は緒に就いたばかりと言えます。

われわれは, 一次知覚神経から脊髄, そしてより上位中枢まで痛みの原因を探索し, 新規治療法に繋がる可能性を探索しています。特に, 脳由来神経栄養因子 (BDNF) の増加は, 末梢, 脊髄後角, 脳幹レベルで侵害シグナルを増強することで神経障害性痛の発症?維持に重要な役割を担うことがしられています。 しかし, BDNFは, 末梢神経,脊髄, 脳に対する 種々の障害, ストレスに対して発現を増加させ, 神経細胞の生存維持, 神経突起の伸長促進, 神経伝達物質の合成促進等の代償機構に重要な役割を果たすことが報告されています。これらの作用は, 慢性痛治療における精神的な変調に関与し, 痛みの難治性修飾を引き起こす原因となる可能性が考えられます。 BDNFの機能変化について, 神経障害時の痛覚過敏?精神障害の病態機序における詳細を明らかとすることにより, より生理的な慢性痛治療の可能性を検討しています。このように, われわれの研究室では, 臨床と研究を直結させTranslational?Reverse translationalな観点から研究を進めています。

<主な学会発表>

シンポジウム: 河野 崇.慢性痛の薬物治療:新たなストラテジ-:高齢者と慢性痛. 日本ペインクリニック学会 第49回大会, 2015. 7. 23-25. 大阪

最優秀演題賞: 浦川 愛, 河野 崇, 岩田 英樹, 山中 大樹, 横山 正尚. 急性術後痛に及ぼすエンドトキシンの痛覚過敏作用 -ラット皮膚切開モデルでの検討-日本区域麻酔学会 第二回学術集会. 2015. 4. 24-25. 群馬

最優秀演題賞: 山崎史幹, 河野崇, Chi Haidong, 江口覚, 山本佳子, 横山正尚. ラット神経障害性痛モデルの痛覚過敏様行動に対するリハビリテーションの効果. 日本麻酔科学会 第60回学術集会 2013. 5.23-25. 札幌

最優秀演題賞: 河野崇, 横山正尚.慢性痛関連うつ様行動に対するリハビリテーションの効果. 第 6 回運動器疼痛学会. 2013. 12-8. 神戸

<主な論文発表>

Kawano T. Functional roles of ATP-sensitive potassium channel as related to anesthesia. J Anesth. 2012 Feb;26(1):152-5.

Kawano T, Soga T, Chi H, Eguchi S, Yamazaki F, Yokoyama M. The involvement of the neurosteroid allopregnanolone in the antihyperalgesic effect of paroxetine in a rat model of neuropathic pain. Neuroreport. 2011 Dec 21;22(18):984-8.

Kawano T, Zoga V, Gemes G, McCallum JB, Wu HE, Pravdic D, Liang MY, Kwok WM, Hogan Q, Sarantopoulos C. Suppressed Ca2+/CaM/CaMKII-dependent K(ATP) channel activity in primary afferent neurons mediates hyperalgesia after axotomy. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 May 26;106(21):8725-30.