重症患者管理に対する新しい治療目標の開発-呼吸?循環ダイナミクスに注目して-
酸素運搬は基本的な生命維持活動のひとつであり、重症患者管理において酸素運搬を維持することが重要な治療目標となる。これまで呼吸管理では低一回換気量、高いPEEP、高二酸化炭素血症の容認を基本とする肺保護戦略、循環管理では早期目標型循環管理(Early Goal Directed Therapy; EGDT)が提唱され広く認められているが、酸素運搬を維持するための呼吸?循環管理目標は現在まで十分には解明されていない。また、これらの治療目標を達成するためには特別な医療機器が必要となるためすべての重症患者に対して確実に行うことができないことも問題である。我々は、この点を解決するため呼吸?循環のダイナミクスに注目し研究を進めている。研究の基本理念としては、近年明らかにされた治療戦略を達成するための(1)簡便、(2)普遍的な(3)完全非侵襲な治療目標を開発することである。少々難しいテーマですが個々の患者さんで酸素運搬が適切に行われているのかを知りたいという一心で研究を進めています。本年度(平成23年度)より、動物実験も進める準備を進めています。
原著論文
Yamashita K, Yokoyama T, Abe H, Nishiyama T, Manabe M.
Efficacy of a heat and moisture exchanger in inhalation anesthesia at two different flow rates.
J Anesth 2007;21:55-8
Yamashita K, Yokoyama T, Nishiyama T, Abe H, Manabe M.
Comparison of the systolic pressure variation between controlled mandatory ventilation (CMV) and biphasic positive airway pressure (BIPAP) after cardiac surgery.
Anesthesia and Resuscitation 2007;43:37-9
学会発表
山下幸一,河野崇,矢田部智昭,阿部秀宏,横山正尚:脈波伝搬時間より算出された心拍出量と末梢血管抵抗の関係,日本麻酔科学会第58回学術集会 2011.5.19-21 神戸