認知症サポーター養成講座を開催しました
2013.10.30
男女共同参画推進室では、平成25年11月11日にTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで開催された「女性研究者研究活動支援事業シンポジウム2013―世界で活躍できる理系女性研究者の育成―」(文部科学省主催、独立行政法人科学技術振興機構協力)に参加しました。
開会挨拶は、文部科学省 科学技術・学術政策局 人材政策課長 松尾泰樹氏からありました。少子高齢化社会で人材育成を行うためには、イノベーションやグローバリゼーション、ダイバーシティの推進に取り組む必要があるという趣旨が述べられました。
次に、文部科学省 科学技術・学術政策局 人材政策課 人材政策推進室長 和田勝行氏から、「女性研究者研究活動支援事業について」の説明がありました。日本の女性研究者比率は14%にまで増加し、女性研究者研究活動支援事業による取組の成果は出ているけれども、諸外国と比較した場合には遅れている旨が述べられました。
基調講演は、「国際的に評価される研究とキャリアをめざして」というタイトルで郷通子先生(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構理事)からお話がありました。郷先生は海外ポスドクをしていた3年間に多くを学んだそうです。その内一つは自分の能力を試せたことが自信につながったこと、二つには他人の持たない能力の組み合わせを認識できるようになったことです。その後、Nature誌に論文が掲載されたことによって海外で業績が評価され、子連れでの海外出張も多数経験されたそうです。郷先生によれば、当時は女性研究者支援が全く無かったので、自分のキャリアは自分で開拓したそうです。いろいろな大学や機関に所属したことによって大勢の友人や知人を得て、多様な考え方を聞くことができたというお話でした。 国際的に評価されるためのポイントとして挙げられたのは、@研究には初めから国際的視点を持つこと、A研究への志は高く持つこと、B堂々と論理的に反論する訓練を行うこと、C海外で得た友人や師は一生の財産であることです。
特別講演は、「参加することと継続すること――そのためのしかけ」というタイトルで北澤宏一先生(東京都市大学学長)からお話がありました。「男女均等な待遇と公正な人事評価」として、女性も男性と同じように研究することのできる環境づくりについて講演されました。ポジティブ・アクションに関して、クオータ制、ゴール・アンド・タイムテーブル方式、基盤整備推進方式、アウォード方式の説明がありました。このうちアウォード方式は北澤先生の提案によるもので、人事ポストや研究費、学科配分予算などを教員の男女比率によって配分する方式です。
北澤先生は、研究が「楽しい、幸せである」というメッセージを伝えることの重要性を指摘しました。それによって後輩の女性が参画し、継続するようになるからです。女性研究者支援の継続には、JSTのプロジェクト終了後も機関の中でビルトインしていくことの必要性が指摘されました。
分科会発表では、日本全国で女性研究者支援に取り組んでいる機関が6グループに分かれて、「世界で活躍できる理系女性研究者の育成」について議論しました。小テーマは、1)国際的に活躍する女性研究者の採用促進、2)女性研究者の研究力の強化、意識改革、3)離職回避、4)復職支援です。
A大都市圏の大学では女性限定公募を実施している機関が多く、実施のためには学長や理事によるリーダーシップが重要であることが指摘されました。これからの期待としては、理系学部や大学院に女性が入学しない問題については、小・中・高校での対応が重要であり、女性研究者が将来どのように活躍できるかを学校の先生や家族に理解してもらう必要のあることが指摘されました。
B地域の大学の一員として、高知大学は分科会に参加しました。地域の大学では、1)採用促進のポジティブ面として、女性限定公募を実施している大学には優秀な女性の応募があるという点が挙がりました。ネガティブ面では、パートナーとの同居問題のために地域の大学には女性応募が少ないということがあります。2)研究力強化のポジティブ面としては、女性研究者キャリア支援に関わる講義や国際的活動への参加促進が挙がりました。ネガティブ面としては、ロールモデル集には現在苦労している研究者の紹介も必要だという点、シンポジウム開催のための財政負担、女子学生をどのように博士課程進学を希望するようになるまで導くかという課題が出ました。3)離職回避のポジティブ面としては、研究支援員に学生を活用することがキャリア支援として有効であることが指摘されました。ネガティブ面としては、予算制約があることから、支援を受けた人が自分で財源を稼ぐようになるよう意識啓発する必要性が指摘されました。4)復職支援のポジティブ面としては、高知大学の一部の部局で実施しているテニュアトラック教員公募で、研究者夫婦が応募して女性だけが採用された場合に、夫の特任職員・研究支援員としての採用を考慮するというパートナー制度が紹介されました。ネガティブ面としては、ポスト確保の困難さが指摘されました。
まとめとして、応募者個人に女性研究者支援の充実をアピールすることが必要であることが確認されました。さらに、地域の大学では女性研究者がステップアップして他大学へ異動する例もあるので、その場合には日本全体で女性研究者の促進に貢献したことを評価して欲しいという要望が出ました。さらにコミューターカップル支援は特に地方大学で大事である点、地域横断型コンソーシアムを複数作る必要がある点が指摘されました。
C女子大学は小規模であり、女性教員比率は高いけれども理工系では低いことが特色です。女子大学ネットワークの活用や、理系女子の裾野拡大、女子学生育成の重要性が指摘されました。
D工学系機関では女性研究者が少ないので、少なさを強みにした取組が特色です。そもそも工学を専攻する女性が少ないので、若手女性研究者支援を強化させる必要がある点や、学内理解を得るためには継続的な意識定着が重要である点が指摘されました。
E医学系機関では、地域医療を支えることも大事なので、臨床医は研究者とみなすことが確認されました。医学系機関では、女性研究者が少ない点、および意識改革が困難であることが特色です。
F独立行政法人では女性採用は増加しているけれども、管理職では女性が少ないので、管理職への登用が重要である旨が指摘されました。
パネルディカッションは、「世界で活躍できる理系女性研究者の育成に向けて、今、研究・教育機関に求められるものは何か」をテーマに行われました。パネラーは郷通子先生、北澤宏一先生、相馬芳枝先生(日本化学会フェロー)、水田祥代先生(九州大学名誉教授、福岡学園常務理事)、小舘香椎子先生(独立行政法人科学技術振興機構 経営企画部 男女共同参画 主監)、モデレーターは山村康子先生(独立行政法人科学技術振興機構 科学技術システム改革事業プログラム主管)が務めました。小舘先生と郷先生からは海外で研究を行うことの重要性が指摘されました。相馬先生によれば、オリジナリティが高いほど所属研究機関では理解されないものなので、外部で評価を得ることによって所属機関での評価を得ることが大事だそうです。さらに組織が小さくてもリーダーになることや、研究費獲得や受賞によって研究評価の「見える化」を図ることが大事であるというお話がありました。
パネルディスカッション