「第2回中国・四国地区男女共同参画推進連携会議」および「第5回中国四国男女共同参画シンポジウム 女性研究者が輝く大学〜女性研究者支援の継続とさらなる発展を目指して〜」参加報告詳細
2013.11.15
高知大学男女共同参画推進室は、平成25年11月15日(金)に鳥取大学で開催された「第2回中国・四国地区男女共同参画推進連携会議(以下、連携会議)」および「第5回中国四国男女共同参画シンポジウム 女性研究者が輝く大学〜女性研究者支援の継続とさらなる発展を目指して〜(以下、中四国シンポジウム)」に参加しました。
連携会議では、平成23年11月11日の「中国・四国地区国立大学の男女共同参画推進のための共同宣言」を踏まえて、連携会議および中四国シンポジウムを今後も引き続き実施していくことが確認されました。また、各大学から情報交換事項について話し合いが行われました。
続く中四国シンポジウムでは、愛知大学名誉教授の坂東昌子氏が「科学技術コミュニティに女性が参画するとき」と題する基調講演をお話になりました。ご自身が若手研究者の時に関わった「共同保育ネットワーク」や「京大保育所」での経験や、恩師である湯川秀樹先生から学んだ研究者としての姿勢について話されました。そして、東日本大震災について触れ、今こそ科学の社会貢献と、分野間のネットワークが大切と指摘しました。最後に、21世紀型の科学と女性の参画について触れられ、マルチに生きる女性の活躍に希望を託されました。
実践交流では、徳島大学の山内あい子氏より「徳島大学AWA(OUR)サポートシステム」について、香川大学の石井明氏、長安めぐみ氏より「香大発、地域ぐるみ女性研究者支援の高波を」について、愛媛大学の壽卓三氏より「愛媛大学女性未来育成プラン〜学内と地域をつなぐ〜」について、それぞれ報告と質疑応答がなされました。
話題提供では、新居浜工業高等専門学校の加藤克己氏より、「女子学生増加による可能性と課題」として、女子学生が多い教室は雰囲気がよくなり、男子学生も含めクラス全体の成績も向上したとの興味深い調査結果が報告されました。
パネルディスカッションでは、鳥取大学医学部の中西友子氏から「子育て期の研究活動サポートの必要性」について、NPO法人KiRALiの福井正樹氏から「子供と働くママに優しい病児病後児保育システム」について、鳥取大学地域学部の畑千鶴乃氏より、「親のニーズと子どものニーズの統合」について、関西国際大学保健医療学部の前田恵利氏から「介護と教育・研究活動」について、それぞれ報告がありました。
中西氏は、研究をサポートする研究支援員を自ら育成した経験について触れ、未経験の作業についても計画的に指導することで遺伝子操作によって光るマウスを作れるほど知識も技術も身についた事例を紹介されました。その研究支援員はその経験を買われ、他の研究機関に引き抜かれることになったものの、研究支援員本人のキャリア形成を考えれば、研究支援員制度は研究者をサポートするだけでなく人材育成支援にもなっている、との話がありました。
福井氏からは、NPO法人として地方で訪問型病児保育を経営する難しさもあるなかで、地域の中で着実にサービスが根付いてきている状況についてお話がありました。
畑氏からは、ご自身が結婚、出産、育児を経験した際に、周囲に子育てを支えるサービスがなかったことから子育て支援に関心を持ち、その関心から社会人大学院に入学して児童福祉学を学んだ経緯が報告されました。経験の中から生まれた学問的関心を育て、現在、鳥取大学で講師をされていることについて、基調講演の坂東昌子氏からも、社会活動のキャリアを活かし、学問的キャリアにつなげた素晴らしい事例とコメントがありました。
前田氏からは、近年、大学で関心が高まっている研究と介護の両立について、100キロメートル以上離れたところに住んでいる両親の週末介護を始めたご自身の事例をもとに、無理をしない介護の大切さについてお話がありました。
基調講演、実践交流、話題提供、パネルディスカッションのすべてのプログラムで、自身の経験や具体的な取り組みについてのお話があり、当事者の視点が良く反映された、素晴らしい内容のシンポジウムでした。