しあわせぶんたんシンポジウム詳細
2014.02.09
高知大学櫻井克年理事は、開会挨拶で、高知大学の教職員を対象に作られた「皿鉢力」のリーフレットを紹介し、専門の生物多様性の視点からダイバーシティについて述べました。
基調講演では、高知県文化生活部県民生活・男女共同参画課の武田良二課長が「ひとりひとりが輝く社会を高知から〜職場で輝く、地域で輝く、家庭で輝く」と題する講演の中で、男女共同参画社会についての概要と高知県の取組みについて紹介されました。
招待講演では同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科の岡野八代教授が、政治思想の視点を盛り込みながら、「社会づくりへの参画〜働くこと、生きること」と題する講演をされました。カント、マルクスを引用し、「労働」という行為が持つ危険な側面に言及しながら、アーレントを紹介し、ケアの倫理の視点から新しい労働観の模索の必要性について述べられました。
パネルディスカッションでは、「いろいろかいろ ダイバーシティの視点」のテーマで多様な取組みの紹介が3報告ありました。
1例目は、株式会社帝国データバンクの泉田優高知支店長より、「ダイバーシティ経営はこれからの常識」と題する報告をいただきました。高知県の事例について2件取り上げ、これからの企業の経営戦略にとってダイバーシティの視点が重要であると述べられました。そして、ダイバーシティ経営は個々の自由な生き方の容認であるとし、利他を尊重する自由の文化は土佐人に合っていると強調されました。
2例目は、NPO法人日高わのわ会の安岡千春事務局長より、「村民の手作りハローワーク ひとりひとりの個性を活かす取組み」と題する報告をいただきました。安岡さんは、わのわ会のミッションを「歳をとっても障がいを持ってもその人らしく日高で暮らす」ことと述べられ、地域の困りごとを解決していくコミュニティ産業であるとして、だれもが地域で役割を持ち、イキイキと生活できる就労の場を提供する取組としていきたいと強調されました。健常者と障がい者の境界線とはいったいなんでしょうか、と参加者に問いかけられました。
徳島大学からは、山内あい子教授より、「徳島大学 AWA(OUR)サポートシステム」と題する報告がありました。これまでの女性研究者支援によって、女性研究者の学術論文数が年々上昇して最終的に66%増加、国内外の学会での講演発表数も3倍・4倍増加、科研費の採択率が39%増加し、女性研究者研究支援事業の最終年では52%の女性研究者が科研を獲得するなど顕著な成果があったことが述べられました。
ダイバーシティを一言で説明するのは難しいことですが、講演・活動報告を聞き、参加者もそのイメージをつかんでいたようでした。
高知大学の藤本富一安全・安心機構長より、総括コメントと閉会のあいさつがあり、実り多きシンポジウムは無事終了しました。