女性研究者研究活動支援事業シンポジウム2014
―女性研究者支援とダイバーシティ・マネジメント―に参加しました
2014.11.26
高知大学男女共同参画推進室では、平成26年11月26日に、女性研究者研究活動支援事業シンポジウム2014に参加しました。
開会挨拶は、文部科学省科学技術・学術政策局 川上伸昭氏からありました。日本の科学技術を優秀で多様な発想を持った人に引っ張って頂きたいという趣旨において、女性の活躍促進が必要であることが提唱されました。
次に「女性研究者研究活動支援事業」について、文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室長 和田勝行氏からご説明がありました。
基調講演は、日本IBM株式会社会長の橋本孝之氏から、「IBMの経営とダイバーシティー」についてお話がありました。日本IBMでは、フレックス制勤務、短時間勤務や、勤務場所の流動化などの取組をされているご紹介がありました。成否を左右するのは、知的資本、心理的資本、社会的資本の3つのダイバーシティー・マインドセットです。グローバル競争を勝ち抜くためには、自信を持ち、自律、自立することの大切さが提示されました。
特別講演は、「きばいもんそ!!かごっま〜意識改革を目指して〜」というタイトルで鹿児島大学学長 前田芳實氏からありました。「きばいもんそ」は、鹿児島の方言で「がんばりましょう」という意味です。鹿児島大学における「女性研究者研究活動支援事業」の取組が紹介されました。鹿児島大学は意識改革を最も大切にしており、部局長を対象にしたトップセミナーを数回実施しています。さらに理事クラスが、「男女共同参画キャラバン」として人事についての重要さを説明しているそうです。
その後、分科会発表がありました。
分科会A 両立支援では、束村博子先生から名古屋大学の取組紹介がありました。最も大事なのはトップダウンであることが指摘されました。名古屋大学は、学童保育を始めて5年になり、平成20年には育児短時間勤務制度も導入しています。
鹿児島大学からは大学経費による研究支援員制度として、シングルファーザーへの支援が紹介されました。
分科会B 意識改革について、有賀早苗先生から北海道大学の取組紹介がありました。男性の意識問題としては、働き方も男女差なしで当然という考え方、女性は男性以上の実績をつまないと評価されない点、一家を支えるのは男性という意識、研究支援員を配置すれば解決という意識、男女共同参画は男性には関係ないという意識が挙げられました。女性の意識としては、成功女性からのアファーマティブアクション不要論があるので、「被害者意識ではなく、前向きの覚悟を持つことが必要」であることが指摘されました。
取組事例として、三重大学から「三重大学生 男女共同参画社会 ワールド・カフェに参加」が紹介されました。文部科学省ワールド・カフェ「100人男子会×女子会」が開催されましたが、この手法は今後さらに活用されていくことが期待されます。
分科会C ポジティブ・アクションについて、相田美砂子先生から広島大学の取組紹介がありました。広島大学は、一般的な公募要領に同等ならば女性を採用するということを教育研究評議会で決定しています。
さらに岩手大学の取組紹介があり、ポジティブ・アクション経費制度、また上位の職位で公募ができる制度等が紹介されました。定着促進としては、「両住まい手当」の他に、「配偶者転勤等同伴休業」として配偶者の留学のために海外に行っても戻って来られる制度があります。地方定着のためには、女性研究者が住みやすい環境作りの大切さが指摘されました。
分科会D 研究力向上・リーダーシップ育成について、田中真美先生から東北大学の取組紹介がありました。東北大学では特に外部資金獲得セミナーに力を入れており、女性に特化して実施した結果、女性の外部資金獲得が増加しています。
さらに帝京大学の事例として、国際的な女性研究者スキルアップセミナーの定期開催等、科学研究費取得向上に向けた取組が紹介されました。
分科会E 次世代育成について、宮浦千里先生から東京農工大学の取組紹介がありました。東京農工大学では、学部生のキャリアパス支援として、女子大学院生が女子学部生の相談に応じるメンター相談窓口を開設しています。
福岡女子大学の事例紹介としては、「私の研究ライフ」という院生インタビューをホームページに紹介し、学部生に大学院を身近に感じてもらうことによって進学促進を行っています。
分科会F 連携(地域・企業)・ネットワーク構築について、宮崎大学の伊達紫先生から紹介がありました。九州・沖縄アイランド「連携・ネットワーク」は、外部資金の有無にかかわらず、大学として取り組むべき課題として形成されました。
さらに金沢大学の取組が紹介されました。女性研究者の研究力向上支援のために、共同研究スタートアップ支援として連携機関との共同研究を実施しており、女性研究者へのエンカレッジとしては、女性研究者賞創設等の取組を行っています。