ロールモデル
「自由」になるために研究者になる
高知大学 教育学部 学校教育教員養成課程(特別支援研究コース)准教授(執筆当時)
是永 かな子
KORENAGA Kanako
略歴
東京学芸大学教育学部障害児教育教員養成課程卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程障害児教育専攻修了、東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程)学校教育学専攻発達支援講座修了。日本学術振興会PD特別研究員を経て、高知大学准教授。
なぜ研究者の道を選びましたか?
20歳のころスウェーデンに留学し、日本とは全く違う社会があることを知りました。「福祉国家における障害児教育」を目の当たりにし、こんな社会システムがあることに衝撃を受けました。もっとスウェーデンのことを勉強したいと思い、卒業論文、修士論文、博士論文とスウェーデンについて研究しました。興味関心は尽きず、スウェーデンのことを学び続けるために、研究者の道を選びました。
研究の魅力は何ですか?
物事の真理を追究することです。論理的な正しさ、新たな視点を見出すことで何が基本となり根本となっているのかを仮説を立てて、検証していきます。わからなかったことがわかること、次の展開が予想できること、基本原則を理解することはとても心地よく、爽快感すらあります。
現在の研究および生活
現在の生活は、朝は仕事が残っていれば4時か5時に起きて子どもが起きてくるまで仕事をします。7時30分くらいに子どもを起こして8時30分くらいに子どもと一緒に家を出るか、夫に子どもを保育園に送っていってもらいます。9時から18時くらいまで働き、19時の保育園のお迎えには間に合うように家に帰ります。夜は子どもと共にいったん9時に床につきますが、9時30分に起きて11時までスポーツジムに行って2キロランニングと2キロ水泳をします。帰宅後11時から12時くらいまで仕事をします。平日の昼間の仕事は、大学で講義やゼミを行うことと共に、保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校などに行って教育相談活動をしています。年に2〜3回、北欧に視察や資料収集のために出張します。現在の研究は「日本と北欧における特別な支援が必要な子どもに対する教育」を主たるテーマにしています。
今後研究者を目指す若い方へのメッセージをお願いします
研究者は「自由」であることが魅力だと思います。新たな知見を得ることで思考的に自由になれます。スウェーデンという異なった思考軸をもつことで、日本の「常識」のみに捉われない自由を感じています。また勤務形態など物理的にも自由です。大学は裁量労働制であり、自分の仕事の時間や内容など自分で決められる部分が多く、主体的に自分の仕事を構成できます。社会的立場としても自由だと思っています。研究者の発言は論理的に正しいかどうかが問われます。自由に発言し、論理的に正しければ認められる可能性が高いのです。真理を追究する点では平等な権利が保障されているので、女性が能力を発揮するにはとても良い職業です。