ロールモデル
研究を楽しんで。目前の課題に丁寧に、全力で取り組みましょう。
立教大学 経済学部 経済政策学科 助教(執筆当時)
関根 佳恵
SEKINE Kae
略歴
高知大学農学部卒業。京都大学大学院経済学研究科で修士・博士課程を修め、フランス国立農学研究所の研修員を経て、立教大学経済学部助教。
なぜ研究者の道を選びましたか?
もともと、農業経済学を学びたくて大学に進学しました。でもその頃は、自分が将来研究者の道に進むとは思いもしませんでした。大学1年生のとき、人文学部の岩佐和幸 先生の講義で「アグリビジネス論」に出会い、それが研究に興味を持つきっかけになりました。また、この頃から米国の農村社会学の議論にも関心を持つようになりました。今振り返ると、経済学者の父の背中を見て育ったことも、進路を決める上で大きく影響していたと思います。
研究の魅力は何ですか?
私は社会科学者ですので、社会、経済、政治の矛盾や問題点を発見・分析して、解決方法を考えること、それを分かり易く社会に伝えることを目指しています。社会に役立つ仕事をしたいと思っていましたので、それがダイレクトに出来ることが私にとっての研究の魅力です。「すべての人が豊かで幸福な生活を営める社会の仕組みを考える」経済学はとても難しいですが、とても面白く、やりがいのある分野だと思っています。
現在の研究および生活
初志貫徹という訳ではないですが、主にアグリビジネス(農業関連企業)の研究に取り組んでいます。最近、新聞等で取り上げられる「企業の農業参入」の実態について、国内外で調査・研究発表をしています。共同研究にも力を入れており、2012年から国連世界食料安全保障委員会のハイレベル・パネルに参加して、世界の小規模農家に関する提言をまとめる仕事もしています。忙しい研究生活の「持続可能性」を追求するため、20代後半から生活を「朝型」に切り替え、効率よく研究に集中する時間の確保に努めるようになりました。
今後研究者を目指す若い方へのメッセージをお願いします
研究を楽しんでほしいと思います。大学院生時代は将来を不安に思う人も多いのですが、中長期的な目標は持ちつつ、出会った目前の課題ひとつずつに丁寧に全力で取り組むことで、研究者への道が開けてきます。そして、若い方には「国際性」と「学際性」を追求してほしいと思います。自分の研究テーマについて、海外や分野外の研究者に語れるといいですね。私は、高知大生のときに留学生と交流したこと、農学部の依光良三 先生(現 名誉教授)主催のフィリピン・スタディツアーへ参加したことが、その後の自分につながりました。農学と経済学という複数分野を学んだ経験も、研究者としての財産だと思っています。