ロールモデル
スタートは今からでも遅くない、悩んでも突き進もう
高知大学 医学部 看護学科 臨床看護学 准教授(執筆当時)
山脇 京子
YAMAWAKI Kyoko
略歴
高知医科大学大学院医学系看護学専攻修士課程修了。高知大学医学部看護学科臨床看護学講座の講師を経て現在准教授として勤務しながら、高知大学総合人間自然科学研究科黒潮圏総合科学専攻博士課程在学中。
なぜ研究者の道を選びましたか?
私は、嘗てより研究者になるためには、出会いにおける「chance」を活かし、自己実現に向けての「challenge」、私自身に内在する希望の「change」が必要と考えていました。 そんな時に、基礎研究から臨床試験まで携われる「ユズ種子オイルの機能」に関する研究に出会い研究者の道を「choice」しました。
研究の魅力は何ですか?
日本看護科学学会に「ユズ種子オイルの抗アトピー性皮膚炎に対する基礎的研究」を出した時のこと、示説を見た医療関係者でもあり、アトピー性皮膚炎の患児の母親でもあった方から「代替療法を試みたが不安であった。エビデンスのある方法がほしかった。早く成果を出してほしい」という切望の言葉を聞きました。この言葉を聞いたときは苦しんでいる人の役に立つ研究であることを確証し、求めている人の期待に応えられる可能性があることは研究の醍醐味であることを実感しました。
現在の研究および生活
高知大学医学部の溝渕俊二教授の研究グループは、馬路村農業協同組合と共同で「ユズ種子オイルの機能」の研究を行い、マウスを用いた実験の結果、ユズ種子オイルにアトピー性皮膚炎の痒みの抑制効果を検証しています。私は、この基礎研究がアトピー性皮膚炎で苦しんでいる人のQOLの改善に寄与できることを期待し、生活者を支える看護の立場で加わっています。現在は、人での検証のための準備が整い、もう間もなく臨床試験を開始する段階です。最終的には、アトピー性皮膚炎患者がユズ種子オイルを塗布することにより皮膚コントロールを維持でき、病気の自己管理ができることを目指しています。
今後研究者を目指す若い方へのメッセージをお願いします
研究者を目指すには、生涯にわたって研究を継続し深めていけるよう、ライフワークとなる専門領域での研究に興味・関心をもつことが重要です。そして自分自身が本当に探求したい研究を行うことが望ましいと思います。
科学とは一定の方法のもとに種々の事象を研究する認識活動により、再現可能な知識を体系化するための真理を追究することです。延いては未来の社会や自然に貢献することに加え、研究者自身に人間であることの誇りや喜びをもたらし、豊かな人間性を獲得することにもなると考えます。社会に広く貢献できる研究を一緒にすすめていきましょう。