ロールモデル
他人の評価よりも自分の希望を大切に。希望の中には夢がある。
北海道大学大学院 文学研究科
応用倫理研究教育センター 助教(執筆当時)
妙木 忍
MYOKI Shinobu
略歴
高知大学教育学部卒業。京都大学大学院 人間・環境学研究科修士課程、東京大学大学院 人文社会系研究科修士課程・博士課程修了。高知では英語教育を、京都では言語学を、東京では社会学を専攻。博士(社会学)。専門分野はジェンダー論。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー、北海道大学創成研究機構特任助教などを経て、2013年6月より現職。
なぜ研究者の道を選びましたか?
好きなことを考え続けていたら、いつのまにか研究の道に。ただ、これまでを振り返ると、高知で言語学の先生と出会い言語理論の美しさに感動したこと、京都で出会った書物と友人と出来事が私を女性に関する研究に導いたこと、東京で初めて自分の問いを解く喜びを実感したことなど、忘れられない出来事があります。知りたいと思う気持ちと偶然の重なりに導かれて今日に至り、これからも柔軟に変化していくのではないかと思っています。
研究の魅力は何ですか?
それは自分で立てた問いを自分で解くという楽しみと切実さ。例えば私には、女性という当事者として解きたい問いがありました(ライフコース選択で私自身揺れ動くのはなぜか、結婚・出産・仕事をめぐって異なるライフコースを選んだ女性たちの間に葛藤があるのはなぜかなど)。他人がどれほどつまらないと思っても本人が解きたいと思う問いがあります。それは本人にしか解けません。このような研究の魅力は、東京の大学院生活で学びました。
現在の研究および生活
今は、以前からあたためていたテーマの原稿を書くことに関心が向いています。ゆるやかに進めてきたテーマが私にはあり、まとめようとしています。研究や授業の他にはシンポジウムの企画・運営にも携わっています。学内外の方との調整は、前職での経験(北海道大学のリサーチ・アドミニストレーターを務めていました)が役立っています。どの経験も貴重な財産に。また、北海道に来てから料理を学び始め、新鮮な発見を楽しんでいます。
今後研究者を目指す若い方へのメッセージをお願いします
自分の関心に正直であること。関心は強まるときも弱まるときも変わることもあります。解きたい問いがある限り研究は続くでしょう。その過程では、回り道や戻り道や迷い道もあるでしょう。その時その時の状況の中で、できることを自分らしく楽しんで。私は、やりたいことには挑戦し、失敗はしても悔いは残さないようにしています。他人の評価より自分の希望を大切に。ロールモデルは、だから、存在しないと私は思ったりもするのです。 (2013年8月)