ロールモデル
研究も人生も柔軟な発想と対応が必要
高知大学 農学部 農学科 食料科学コース主担当
准教授(執筆当時)
島村 智子
SHIMAMURA Tomoko
略歴
高知大学農学部卒業、高知大学大学院農学研究科修了、愛媛大学大学院連合農学研究科修了と同時に博士(農学)を取得。その後、日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)助手を経て、2005年12月より現職。
なぜ研究者の道を選びましたか?
私はもともと、あるテーマにのめり込む、所謂オタクの要素を持っている人間だと思います。対象となるテーマは、作家、演劇、スポーツと様々ですが、その中の一つとして食料科学分野の研究があったという感じです。大学進学の際に文系を選んでいればその道の研究者になったでしょうし、理系でも農学部ではなく他の分野に進めばその分野の研究者になっていただろうと想像します。それほど、今の職は自分にとって自然に感じられるものです。
研究の魅力は何ですか?
究極的に言えば「知的好奇心を満たしてくれる」という点です。今まで分からなかったことが明らかとなるということは、どんなに小さな事柄についてでも楽しいものです。今の職についてからは、研究は自分のためだけではなく、教育のツールであったり、地域の人々や他の研究者とのつながりを持つためのツールであったりと色々な面を持つようになりました。最近では、自分を思いもよらない方向へ導いてくれるという点も研究の魅力だと感じるようになりました。
現在の研究および生活
専門は食品化学、食品機能学、食品分析学です。基礎的な研究の他に、高知県の農水産物の機能性の解明も継続的なテーマとして扱っています。高知県出身なので、研究を通じて故郷に貢献したいと考えています。研究生活は子どもを産んでから大きく変わりました。仕事とプライベートをきっちり分けるようになり、常に効率を考えるようになりました。研究に際限なく時間を費やすことはできなくなりましたが、周りの方々の協力と自身の意識を変えることで、子育ても研究も楽しいものになっていると思います。
今後研究者を目指す若い方へのメッセージをお願いします
同じ研究者でも、働く場所は企業、研究所、大学など様々な場所が考えられます。早い時期から一つの進路に決めてしまわず、色々な可能性に備えて準備をしましょう。学生時代は自分が主役で、生活も研究も自己中心でOKな場面が多いですが、一歩社会に出るとそればかりでは活躍できません。想定外の出来事、複雑な人間関係に対応・適応できるタフで柔軟な心を養っておくことをお勧めします。