「とにかく家がない。。」
重松ロカテッリ 万里恵 先生
この度、オーストラリア メルボルンのSt Vincent's Hospital Melbourneに心臓麻酔フェローとして留学させて頂くことになりました。
大好きな心臓麻酔とオーストラリアの医療システムを学び、また少しでも臨床研究のノウハウを掴んで帰国できたらと考えて、期待と不安で胸がいっぱいです。留学までサポートいただいた河野教授をはじめ医局の皆さま、本当にありがとうございます。
今回は、「生活のセットアップ編」とのことで、メルボルンに到着してから生活を整えるまでのことについてお話ししたいと思います。
こちらに来て、まず最も苦労したのは予想通り「住居」でした。メルボルンはCOVID19パンデミック終息後よりますます移民が増え、メルボルンの空室率は私が引っ越してきた時点で0.8%、平均で家が見つかるまで5週間と言われていました。
そもそも日本から予めマンションを仮予約する、なんてことはできません。現地に到着した後、まず不動産会社を通してinspection(内見)を申し込みますが、確率として大体10件申し込んでも5件程度のみinspectionの承諾がもらえます。
いざinspectionに行こうと思ってもさらにその半分が直前にキャンセルされることも日常茶飯事。1つのマンションのinspectionに多い時では20-30人程度来ており、競争率の高さが伺えました。何十件も申し込み、無事にinspectionが済むと、ようやくエージェントからapplication form(申し込みフォーム)がもらえます。そのフォームには自分と家族全員の履歴書と銀行口座の残高証明を含むありとあらゆる個人情報を記載し、さらに現職と前職の職場の上司や、前の住居の貸主からreference(保証)をもらわなければなりません。エージェントが直接職場や家主に連絡をとり、職歴や給料に虚偽がないか、支払いに遅延がないか確認するのですが、その方々からの返信も48時間以内にないとapplication自体がキャンセルされます。
そんなこんなで日本にいる多くの方々を巻き込んで、何とかapplicationを済ませても、オーストラリアの賃貸歴のない私たちは圧倒的に不利。「家賃6ヶ月分前払いします!お金ならあります!」とアピールを続け、何とか貸してくれるマンションを見つけることができました。家なき子の期間が長く、かなり不安な思いをしましたが、後から振り返ってみるときっと良い思い出になることと思います。
その他にも、運転免許の取得や銀行口座の開設、オーストラリアでの確定申告の書類作成にこちらの年金の申請(!)、オーストラリア警察での犯罪証明の取得まで、多くの書類を税務署や移民局に問い合わせながら行いましたが、なんと言っても1番苦労したのは住居の契約でした。
晴れて住む場所を見つけ、家具や電気製品を揃え、何とか子どもたちの小学校と私の始業に間に合ったわけですが、意気揚々と職場であるSt Vincent's Hospital Melbourneに向かった私に、さらなる試練が待ち受けていました。
それでは次回、仕事開始編でお会いしましょう。